放課後ワルツ





もしかして、帰っちゃった?



早瀬の席を見ると、まだ机上に荷物が置いてあった。帰った訳ではないらしい。

ならば、どこへ行ったのだろう。他クラスの誰かに用事があるとか?職員室とか?

「早瀬……」

彼が居ないと何だか落ち着かない。
元々、家以外の場所でひとりで居ることが苦手な性分だから、尚更だ。


込み上げてくる弱気を紛らわそうと、机に向かって再びプリントに手をつけた。

分かっても分からなくても、とにかく手を動かす。無理矢理にでも、解く。
絶えず何か他のことに意識を集中させていないと、何だか気持ちがくじけてしまいそうになるから。


……早く帰って来てよ。

ひとりにしないで。


誰かが傍に居てくれないと、早瀬が居てくれないと、不安になる。


寂しい。





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