シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「小猿、皇城との接点は何処だ?」
「お、俺に聞いたって…」
「そうだよな。お前は皇城の裏とは無縁に、温室でぬくぬく育った、世間知らずな坊ちゃまだ。人選を間違った」
ずん。
まるで大きな重石でも頭に食らったかのような…小猿の落胆ぶり。
同時に手から、リスと小小々猿を落としてしまったらしい。
「いちちちち。美リスの顔に傷がついたらどうするのさ!!」
また煩いのが覚醒しちまったらしい。
「ううっ…こ、腰が……」
小小々猿は四つん這いになって、腰を摩っている。
騒がしい連中をものともせず、脅威の集中力で考え込んでいた櫂は、やがて……、
「五皇…羅侯(ラゴウ)…皇城?」
何かが閃いたように目を見開いたが、直後に苦悶の表情を作ってまた考え込む。
「しかし…黄皇は死んでいる…。何故今…。羅侯(ラゴウ)は…」
そんな呟きを耳にしたのは、俺だけではなかったらしい。
「黄皇はんが盟約に羅侯(ラゴウ)を出してきたのは…偶然やない。
生粋の皇城出なら仕方ないやろう?」
アホハットは言う。
「「皇城?」」
俺と小猿は口を揃えた。
「黄皇は――
皇城雄黄か?」
険しい顔つきで問うた櫂に、
「然り」
アホハットは薄く笑った。