シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

攻撃 櫂Side

 櫂Side
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五皇が恩義を感じ、いまだ逆らえない存在。

五皇が五皇である為の礎を築いて五皇を守り、そして五皇を縛り続ける存在。


そして五皇が盟約というものが、皇城お得意の謎めいた羅侯(ラゴウ)というものであり、尚且つ現在皇城№1の存在と、緋狭さんがあえて戦おうとしなかったのなら。


可能性はひとつ。



「黄皇は――


皇城雄黄か?」



俺の問いに、元五皇が笑って頷く。



「然り」



と。



この可能性が正解だというのなら、

その先に見えるものは一体なんだ?


死んだとされている黄皇が実は生きていたとして、しかし緋狭さんも氷皇にも、今まで黄皇の影はなかった。

"約束の地(カナン)"に行けと言われた時の理由も、今は亡き藤姫が白皇に命じたものを探るため。

氷皇を除く、残り三皇は藤姫の意を継ぐ者で、氷皇承認の元、緋狭さんがその調査に乗り出し、その緋狭さん代理として"約束の地(カナン)"に遣わされた。


藤姫の意――即ち不老不死。


藤姫の為にと純粋に忠義心で受け継ぐではなく、そこには五皇の色々な思惑が見え隠れして。


白皇は天使というものを使い、永遠を夢見て"約束の地(カナン)"を作った。

黒皇は…親父に命じられ、白皇の作った永遠の楽園、"約束の地(カナン)"を滅した。

緑皇は今は五皇職をやめて情報屋をしながらも、黄皇の黄の印から逃れている気配はなく。

それどころか、"約束の地(カナン)"から逃れる術を、氷皇の使いたるクマと共に俺達に授け、ここまで連れてきた。

そしてこの場所には、緑皇が窮地に陥れた…紅皇たる緋狭さんがいる。


五皇同志の馴れ合いはないはずなのに、五皇が連鎖的に集結している事実。

その契機となったのは、"約束の地(カナン)"にて白皇が死に、


――黄衣の王か。


芹霞が、黄色い蝶を見つけてから。


必然に動く氷皇ですら、"黄色"の出現は予期していないような口振りだったのは今でもひっかかっている。


その時、皇城雄黄はどうしてた?

翠が言うには、重傷で入院していたはずだ。

そして、翠の父親…御前が死に、そして今、雄黄は表立った。


その間――

氷皇から五皇の情報としてまず伝えられたのは、青いノート型パソコンのスクリーンセイバーにあった顔文字。


(蒼`◇)<濃厚氷━☆(゚■゚紫)ノ


隠されたメッセージは"五皇の履行"

五皇の盟約の履行を氷皇が紫堂に伝えている。


紫堂も、五皇の盟約に関係がある。

それは紫堂出の久涅が五皇であることに関係しているのかは判らないけれど。
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