シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「いいか、聞け、チビ。櫂はな、俺の頭を巣にもしてねえし、2リットルポカリ飲んで水膨れリスにもなんねえし、俺と同じだろうが!!」

「櫂の何処がイヌなんだよ。くくく、お前本当に馬鹿だね」


「俺は、ワンコじゃ「それよりさ」


話を遮ったのは、煌の頭に飛び乗った…またもやレイで。


既に関心は煌ではなく――。


「ねえ、加齢臭のするミドリのおっさん」


ピキン。


情報屋のコメカミに青筋が浮き出た。

俺達がレイを止めるのよりも早く、レイは喋り続ける。


「おっさんはいつその臭い匂いで、ゴオウをクビにされたの?」


愛らしい瞳をくりくり動かして、可愛らしい顔を少し傾げて、口からは容赦ない言葉を飛ばしてくる。

「んん…どこまで臭くさせたの? どこの匂い? お口?
お尻? おっさんはスカンク?」


「だ、誰がスカンクやねんッッ!!1」

「わわわ、チビ、しーっっ!!」


煌が頭からレイを引きずり落とし、口に指をあてたが齧られてしまったようだ。


「なんやねん、なんやねん!! ひーちゃんは優秀やさかい、クビにされたんではなく、自分から…」

「おっさん、自分からクビにしてくれって言ったの? ああ、そうか。"じしゅたいしょく"って奴だね。僕頭がいいから何でも知ってるんだ。退職金って言うのが多いんでしょう? けっこうおっさん、がめついね、くふふふふ」


………。


「だけど、誰にクビにしてくれって言ったの?」



その言葉に、空気が変わった。


そうだ。


五皇の任命。

五皇の罷免。


「――元老院だろ!!?」


煌が代わって答えるけれど。


「なんかさ、ゴオウっていう"色つき"はよく話に出るけど、ゲンロウインって出てこないよね。生きてるの?」


動物だからこその単純な質問なのか、それとも鋭いのか。


「…櫂、生きてるよな?」

「ああ、生きている。確かに…おとなしすぎるな」


五皇の境遇を悪化させていた元老院。

それを救った黄皇の出現を黙しているのは何故?


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