シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「ん~ん~」
突然レイが煌の頭で座り込んで何かをしている。
声をかけると、
「ゴオウって、アカ、アオ、ミドリ、シロ、クロだろ? それにキイロ混ざったら、"ろくおう"になっちゃうのかなって思ったんだ。左親指から指を曲げてまずゴオウを数えていたらね、クロの時に右親指になるだろ? そしたら、自然に他の指も曲るから、6番目を数える時には、どうすればいいんだろう?」
くりくりと目を動かしながら言われた。
「……チビリス」
「何だよ。もしかしてお前馬鹿だから、指で数を数えられなくて、僕に教えて貰いたいのか? だけど生憎、僕は手が塞がって…」
「数くらい、俺だって数えられるわ!! 俺が言いたいのは、アカ、アオ、ミドリ、シロまではいい。けどなんでクロで右手になる!!! 普通は左手で終わるだろう!!」
「え? だって僕の指、4本しかないもの」
「え? お前の指4本しかねえのか?」
「だって僕、リスだし」
「いや、リスだって言われなくてもリスだろうけど、リスって4本指!!? ちょっと見せてみろよ。うっわー、ちっせぇ…。こんな指で胡桃を持つのか? 本当にこれ指か? 溝じゃねえのか?」
「離せよ、僕は数を数えているんだから~」
煌に尻尾をつかまれたレイは、ぶらりぶらりと逆さま状態で左右に揺れている。
「うわ、そんなに動くな…あ…」
「うわわ、離すなよ、あ……」
「うっ……無念」
護法童子が腰をさすってなんとか起上がろうとした途端、上から落ちてきたレイに潰された。
「イチチチチ。ゴボウ、お前のキンピカ鎧痛いよ~。危ないから脱げよ~」
「いやしかし、レイ殿」
「何で"ぽっ"となるんだよ」
「いやその…これを取ると、我は全裸で…」
「別にいいじゃないか。オス同士。僕だって裸だよ?」
「いやしかし…見知った者相手に、改まって……」
「モジモジするなよ。ねえ、櫂。お前は僕が全裸でいても気にしないだろう? 従兄弟同士だし、オスだし。普通だよな」
「あ、まあ……」
本物の玲が全裸でうろうろしていたら、やはり服を着ろと言うだろうが、このレイに服を着せたいとは思わない。
元から普通のリスではないが、服を着せてまで、ますますリスの野生を否定したくない…おかしなわだかまりがある。