シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「今、皆の者を外に行かせた!! これで少し時間稼ぎが…」


駆け込んでくる夢路の声。



「0と1の配列が固定化してきた!! 増殖続けるのは……やばい…あの呪文だ!!! 本家本元からの…妖蛆の呪文だ!!」


本家本元……?

玲の父親が叫んで、キーボードを猛速度で叩き出す。


「結界を……ぐっ…」

「緑皇、動くではないわ!! 妾に掴まれ!!」

「何で…このタイミングで…。あちらには、"あいつ"が……」



「煌」


すると煌は既に偃月刀を用意していて、俺に頷いた。

さすがは俺の護衛役の幼馴染。

俺の考えは、伝わっていた。


そして、少しも怯むことなく。


「夢路。あのスクリーンを消していけば、いいんだな?」

「は? 無謀だ、あれは……」


俺の強みは、"約束の地(カナン)"で体験していること。

あの向こう側の"なにか"を倒せばいい。


「あれは…物理攻撃は効かない!!」


……どうやら、少し勝手は違うようだけれど。

すぐに軌道修正してやる。



「銃を持っているか…」


苦しげな声で、緑皇が言う。


「あれが…有効だ。もしもの為に用意したのが…功を奏するか……」



それは回転式拳銃。

煌も翠もまだ身に付けていた。


「僕もばっちし!!」


……レイのものはどうなんだろう…?

レイも…戦う気らしい。


「矢でも銃でも、どんとこい!!」


勇ましい。

さすがは俺の従兄を言い張ることだけはある。


「おお、我も戦うぞ!!」

「ゴボウちゃん、頑張ろうね」


翠も護法童子も、戦意を失うことなく。



「いいか、目的は二つ。この世界の被害を食い止めること。出来るだけ早く、敵を抹殺すること。

敵は素早い。だが、俺達だって素早さは負けない。あのゲームを潜l抜けてきたんだ。

あのスクリーンから何が出て来るか判らない。だが、動じるな。お前達はひとりじゃない。そうやって今まで来たことを思いだせ」


全員が一同に頷いた。



「櫂」


その時緑皇が俺の名を呼ぶから、俺はその顔に振り返る。


緑皇は――


「この世界を……守ってこい。これがお前の"初陣"だ」



緑皇が微笑んでいたんだ。

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