シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「え、あんた久遠のお友達!?」


芹霞さんが化けネコに驚いた声をかければ、


「ニャア!!!」


勿論と言わんばかりの威張ったような鳴き声。


「だけどあんたクオンでしょう!!?」

「ニャアニャア!!」


自信満々、なんて力強い肯定の鳴き声。

だからこそ、少し…沈黙が拡がってしまった。


「クオン=(イコール)久遠……だよね?」


遠坂由香の声に、


「ニャア!!」


声高な鳴き声と、先程まで鼻タレだった顔での"どや顔"が向けられたが…考えば考えるほど、このネコが言葉の響きだけで何の固有名詞を意味しているのか、理解して正しく聞き取れている…とは到底言い難く。


まあ……ネコだからということで、それ以上は突っ込まなかった。


「さて、問題です。"約束の地(カナン)"の引きこもりでも得られる情報があるとすれば?」


「ネット……」


玲様が呟くと、周涅は「さすがは元祖引きこもり」と笑う。

それを聞いていなかったのか、師弟は顔を見合わせてぶつぶつと話し合っている。


「あいつ、ネットで勝手に資産増やしてて、妙にネット慣れしてたし。それに由香ちゃん、確か前…特定の外部とアクセスした記録(ログ)が、レグの機械に残っていたよね?」

「ああ、久遠エロ動画ダウンロード説の奴だね? "ロリロリ学園"だったっけ、記録辿ったサイト…クオン、だまらっしゃい!!」

遠坂由香が、ニャアニャア騒ぐネコの手をパチンと叩いた。


「久遠が…ロリロリ…学園? で、煌が…ぱふぱふ学園…?」


くらりと体が揺らいだ芹霞さんを、苦笑した玲様が支えていた。


「ははは、それは偽装(カモフラージュ)アドレスさ」


周涅の答えに、場からは何とも言えない…安堵の溜息が漏れた。


「だけど情報を得るためには、そこに投稿されている無修正の動画のボタンを押していかないといけないから、そこで見ちゃったかどうかは周涅ちゃん知らない~」


投稿されている…無修正動画。


「ちなみに、そのサイト系列は色々あるみたいだよ。素人の投稿がウケているみたいでさ。中でも断トツは、ホ・モ。美形絡み」

「むふ?」


食いつこうとした由香さんを、玲様が頬を叩いて正気に戻した。

私は、情報屋から貰ったiphoneで、氷皇に脅されて占星術(ホロスコープ)を解いていたことを思い出す。


情報屋……?

まさか…!!
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