シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


弱さを守る為に武装するのは簡単だ。

しかしそれでは成長出来ない。

強くなれない。


どんな無様でも、自分というものをさらけだして、我武者羅に戦えば、道は拓ける。


ああ、玲様だってあの馬鹿蜜柑だって。

そして櫂様だって。


きっかけは芹霞さんを守ることとはいえ、皆そうやって、汗と泥にまみれて強くなってきた。


形振り構わず戦うことで、成長したというのなら。

そして今も現在進行形で強くなっているというのなら。


私だって出来ないはずはない。


時にはこうして心を解放して、


ただ闇雲に戦うだけではなく――

気心しれて尊敬出来る仲間と…、息を合わせて鼓動を合わせて協力仕合うのもいいじゃないか。


私の力の及ばないところは玲様が。

玲様の危険には私が。


思い出せ。

あのがさつで荒削りの馬鹿蜜柑と共に戦った時の高揚感。


玲様の動きが洗練されている分、あれ以上の満足感がえられるはずだ。



ああ――

なんて体が軽いんだ。



気持ちいい。




「ニャアアアアアアア!!」




突然の火炎放射に驚けば、化けネコまでも参戦していた。

好戦的な真っ赤な目をして、まるで戦いたくて仕方が無いとでもいうように、興奮にふるふると震えていた。


思うことは、人間も動物も同じ。

心が見えれば、連鎖反応的に相乗効果。



ならばここは――



「皆で突破しましょう!!」



全員で。


ひとりだけの力ではなく全員で。



「由香ちゃん、来た道からなんか声が聞こえない!?」

「本当だ!! 応援が来てるのかも!! ここにいない方がいい。ボクはそう思う!!!」

「邪気眼だね!!?」

「そう、ボクの邪気眼さ!!」


そんな会話は露知らず、私と玲様は戦いに夢中で。


「どうしよう、皆気づいていないみたい。というか、あたし達の声聞こえてないみたい」

「それどころじゃなさそうだものな。だけど、ボク……本当に悪い予感に心臓がドクドクしてきたから、早くこの危険な場所から立ち去った方がいいと思うんだ」


「……皆が感じ取れないものを感じ取れるなんて、由香ちゃんの邪気眼凄いね。チャリ漕いで、救世主になったのかな。救世主になっても友達でいてね」

「むふ? 勿論友達さ。マブダチ!! なんて…言っている暇ないぞ、さあ、どうする。さあどうする…ボクの邪気眼。…ん?」

「あたしも考える。皆があたし達の話聞いてくれて、更にあっちの動きを止める方法。邪気眼が目覚めて無くても出来る方法……ん?」



突然、女ふたりは叫んだんだ。



「あ、紫茉ちゃんがいる!!!!」

「七瀬!!!」



その言葉は――

私達の戦闘をとめるには大きな威力を持っていた。

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