シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
何処だ?
何処に隠れている?
なんで見えねえ?
加勢したくても、何処でなにをどうすべきか…その術がわからなくて、もどかしい。
慌て焦っているのは俺だけではなく、櫂も小猿も…小猿の肩に降り立った小々猿も、きょろきょろあたりを見渡して、打開策を練っているらしいけれど。
「!!!?」
そんな時、俺は見た。
偶然、タイミング良く。
別の忍者が倒れる寸前に、なにかが一瞬だけ青く光ったから。
光は陰影を浮き彫りにしたんだ。
俺は――
「は!!?」
思わず声を上げた。
「なんで今、スクリーンがもこっと膨らんだ?」
不自然に。
まるで中から人が出て来そうな…そんな膨らみを。
それを忍者達は斬り付け、返り討ちにあっている。
「え、膨らんだ?」
応答したのは小猿で。
「俺、見えないよ?」
「俺の目は2.5でしかも動体視力もいいんだ。俺が見間違えるかよ。ほら、あそこもだ!! 今青く光ったとこだ!!」
「え、えええ? 青い光も俺見えないけど…今度はあっち? 見えないよ、忍者が死んでいくだけで…」
どうも小猿の目は、俺が示す動きよりワンテンポ遅いらしい。
それくらい僅かな間でなされているってことだが、これじゃあただ小猿を調教しているだけの気分。
小小々猿は神だかのくせに、目をつぶってだんまり決め込んでいるし。
俺……別に小猿と遊んでいるわけじゃねえんだけど。
「いるな。あの…スクリーンの向こう側に」
俺を擁護してくれたのは、櫂だった。
「俺も見えた」
僅か目を細め、落ち着き払った声を発するのはさすがだ。
「紫堂櫂まで? なにかがいるの!!? このスクリーン……1cmもない薄さだぞ!! ありえないって!!」
それは俺も同感。
おかしなものを見えてなければ、俺は小猿を強く支持すると思う。
今でさえ、不思議すぎる。
一応小猿と一緒に、近くのスクリーンの裏側を見てみたけれど、やはり裏は裏。誰も隠れてもねえし、なにもおかしなところはねえ。
くるくる丸めることだって出来る。
人はおろか、武器らしい武器だってある様子はねえ。
首を捻る俺達に、櫂が静かに言った。
「何処かに繋がっているんだ。"約束の地(カナン)"でもそうだった。白いスクリーンの向こう側に、Zodiac……と思われる"奴ら"が現われ、さらに並べた多くのスクリーンを横に走り抜けた」
「はあああああ!!?」
俺と小猿は派手に驚いた。
「なんで走れちゃうの!!? え、繋がってないじゃないか!!」
「そうだぞ、櫂!!」