シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
原点 桜Side
桜Side
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「原点に戻って…
考える必要があると思うんだ」
そう、玲様は言われた。
「ということは――…」
芹霞さんが真摯な面持ちで、鳶色の瞳を見つめて。
「あたしの首から胸にかけての沢山の赤い斑点、いつ何処で何でついたか、よくよく考えろってことだね?
うん、判った。必死に思い出してみるよ。ええと…」
何処までも真剣な芹霞さんの言葉に、玲様は顔を赤く染められて。
「違うよ、芹霞!!! その話じゃないんだって!!! もう引っ張らなくてもいいから!! お願いだから、その話は終わりにしよう?」
もう何度目になるだろう、この会話。
「ふええええん。玲くんに見離された!! やっぱりあたし、手当ても無駄な末期症状で、すぐ死んじゃうんだ!!!」
やはりまた芹霞さんが泣いてしまい、玲様は、またおろおろ。
――大丈夫、心配しなくてもいいものだよ?
いつもてきぱき処理をする玲様から、何も手当てがなかったということが、芹霞さんの不安を煽っているようで、玲様は優しいから手遅れだということを黙っているのだと…逆に思ってしまったらしい。
芹霞さんは余程…"約束の地(カナン)"において、ゲームに充血した目を病的に感じていたらしいが、ならば何故芹霞さんだけが"斑点"がつくのか、彼女にはその疑問は湧いてこないらしい。
「死なないから!!! というか、僕が死なせないから!!!」
「うわあああん!!! きっと最期は腐りまくって醜く死んじゃうんだああ!!」
「腐らない、腐らない!! むしろ"ぴっかぴかのつっやつや"になって、今まで以上に綺麗になるから!!」
玲様は…必死に(一方的に)宥(なだ)めているのだが、何で"ぴっかぴかのつっやつや"になるのか、そしてあの斑点がどうして"綺麗要素"になるのか私にはよく判らない。
「ぐすっ。あたしは、現代医学で究明できないような難病奇病にかかって…」
「君は変な病気じゃないから!! 時間がくれば元通りに…」
平行線の会話の中、狼狽(うろた)える端麗な顔は赤さを増すばかりだったが、玲様はひくっと片眉を動かされると、静かに言葉を切られた。
そして――
「元通りも…何か嫌だな…」
伏せ目がちにそう小さく呟かれたのを、私は聞き逃さなかった。
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「原点に戻って…
考える必要があると思うんだ」
そう、玲様は言われた。
「ということは――…」
芹霞さんが真摯な面持ちで、鳶色の瞳を見つめて。
「あたしの首から胸にかけての沢山の赤い斑点、いつ何処で何でついたか、よくよく考えろってことだね?
うん、判った。必死に思い出してみるよ。ええと…」
何処までも真剣な芹霞さんの言葉に、玲様は顔を赤く染められて。
「違うよ、芹霞!!! その話じゃないんだって!!! もう引っ張らなくてもいいから!! お願いだから、その話は終わりにしよう?」
もう何度目になるだろう、この会話。
「ふええええん。玲くんに見離された!! やっぱりあたし、手当ても無駄な末期症状で、すぐ死んじゃうんだ!!!」
やはりまた芹霞さんが泣いてしまい、玲様は、またおろおろ。
――大丈夫、心配しなくてもいいものだよ?
いつもてきぱき処理をする玲様から、何も手当てがなかったということが、芹霞さんの不安を煽っているようで、玲様は優しいから手遅れだということを黙っているのだと…逆に思ってしまったらしい。
芹霞さんは余程…"約束の地(カナン)"において、ゲームに充血した目を病的に感じていたらしいが、ならば何故芹霞さんだけが"斑点"がつくのか、彼女にはその疑問は湧いてこないらしい。
「死なないから!!! というか、僕が死なせないから!!!」
「うわあああん!!! きっと最期は腐りまくって醜く死んじゃうんだああ!!」
「腐らない、腐らない!! むしろ"ぴっかぴかのつっやつや"になって、今まで以上に綺麗になるから!!」
玲様は…必死に(一方的に)宥(なだ)めているのだが、何で"ぴっかぴかのつっやつや"になるのか、そしてあの斑点がどうして"綺麗要素"になるのか私にはよく判らない。
「ぐすっ。あたしは、現代医学で究明できないような難病奇病にかかって…」
「君は変な病気じゃないから!! 時間がくれば元通りに…」
平行線の会話の中、狼狽(うろた)える端麗な顔は赤さを増すばかりだったが、玲様はひくっと片眉を動かされると、静かに言葉を切られた。
そして――
「元通りも…何か嫌だな…」
伏せ目がちにそう小さく呟かれたのを、私は聞き逃さなかった。