シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「玲くん惑わされないで。思い出して玲くん。あたしの携帯が受信続けた文字化けメール。助けてというSOS。玲くん自身が感じているはずよ。電脳世界は玲くんを恨んでる!?」
「違うはずだよ、師匠。師匠がピンチの時、電脳世界は師匠に力を貸したじゃないか。こっちの世界の虚数が電脳世界を苛むことのないよう、その0と1の力を使うのを極力控えてきた師匠を、電脳世界が見捨てるものか!!」
「そうです、玲様。0と1に心があると仰っていたのは玲様です。心があるのなら、今まで電脳世界に敬意を払われた玲様を感じっているはずです。玲様、ご自分を否定されないで下さい!!」
まるで示し合わせたかのように、断定口調で言う私達は、確信していた。
もしも電脳世界を構成する住民のような0と1に、人間のように心があるのなら、優しい玲様を、愛さないはずはないと。
それだけ玲様は電脳世界を愛して、大切にしてきたのだ。
「櫂様もそう言われるでしょう。煌だってそう言うはずです。私達は長い間、玲様を見てきています。知り合って僅かなそんな男の言うことと、私達の言うこと、どちらが正しいとお思いですか!!」
思わず怒り口調になってしまった私を、驚いた顔で皆が見ていたけれど。
「そ、うだね……。信じるのならば、僕は――」
玲様が天井を振り仰いで、そして周涅に視線を合わせた。
「僕は、仲間を信じる。周涅、お前が持てない……絆の勝ちだ。僕は崩れないよ。お前の逆転劇にはさせない」
怜悧な鳶色の瞳。
大丈夫。
私達が玲様を闇には沈ませない。
櫂様の留守に、そんなことにはさせやしない。