シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「絆、絆だって!?」
突如笑いだした周涅。
「だったらさ、君がしでかしたもののツケを払いなよ」
途端に、景色が新たな景色が覆い被さるように変化してきた。
「さっきさ、ここの装置の動きを強めて、虚数を多く電脳世界に送り込んだんだ。なんのためかわかる?」
次第に見えてくる景色それは――
「裏世界を潰すためさ」
一面白いスクリーンで覆われた、迷宮のような場所。
潰す?
櫂様が今いる場所を?
「これは……九星の陣!!」
そう叫んだのは朱貴で。
「そうさ。裏世界をぷちっと潰そうかなって。だけど抵抗してくれちゃってるんだよね、正義の味方ぶっている奴らがさ」
ああ、人影が見えてくる。
それは――。
「櫂!? 煌!?」
芹霞さんと玲様が同時に叫び、その人影に手を伸ばしたが、擦抜けてしまった。
スクリーンと戦っているようにも見える半透明の影は、幻影か。
懐かしさが込み上げる、漆黒色とオレンジ色。
動く人型はそれだけではない。
まるでモニターを見ているように、様々な角度から動く者を捕えて映し出している。
それらは同じ処にはいないようだ。
符呪を使う皇城翠と――
「なに、あれ? 忍者?」
「……わお。どこぞのワンコが喜びそうな、"学園"モノに出てそうな忍者だね」
皇城翠の顔した小さいものと、おかしな小さな人形達と、
「煌の頭にリスもいる……」
そして芹霞さんは、玲様をじっと見つめた。
「芹霞。僕はリスじゃないから」
玲様は無表情で、静かに否定した。
「絆が大切だというのなら、そこで見届けるといいよ。彼らの最期を。玲くんが大好きな電脳世界が、玲くんの従弟とその幼馴染を殺す様を。Zodiacだって、殺気立っているみたいだしね」
「周涅、翠もいるんだぞ!?」
それまで黙していた七瀬紫茉が声を荒げた。
「ああ、だから彼だけは生かせるつもりだよ。そう命じてあるよ、周涅ちゃんが使役している"裏切り者"に」
――え?
「彼らは仲間だと思っているみたいだけどね、ははははは!!」
――櫂様!! 煌!!