シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「チビ、もう一回!!」
「う、うん。サンダーボルト~」
暗闇に光る稲妻。
瘴気を孕んだ空気を破壊するような大きな雷鳴。
「アタ~~~ッッック!!!!」
落ちた雷光は、鉄の胡桃を結ぶように音をたてて走り――。
「あれ?」
「えええええええ!!?」
消え去る奥義に、驚いた声を出したのはチビだった。
「どうしてどうしてどうして!? 僕の奥義がどうして!? ねえ、煌。どうしてうまくいかないの!?」
「俺に聞くなよ、奥義発動してるのはお前だろう!?」
「もう一回、サンダーボルトアタ~~~ッッック!!!!」
………。
「サンダーボルトアタ~~~ッッック!!!!」
「……チビ、胡桃の順に雷を地を走らせるから消えるんじゃねえか? 一気に広範囲で行ってみたらどうだ?」
「う、うんそうだね。きっとそうだね。だったら上から一斉にいくよ。サンダーボルトアタ~~~ッッック!!!!」
まるで盛大な打ち上げ花火を見ているかのように、流星雨の如く四方八方に散ったチビの青い光は、そのまま地面に落ち――。
………。
「消えたな……」
「次こそは!! サンダーボルト~~~ッッッ!!!!」
………。
「これで最後だ!! サンダーボルトアタ~~~ッッック!!!!」
駄目だ。
俺達の軌跡が途切れてしまう。
やがて、
「しくしくしく……」
チビは泣き出してしまったようで、俺の頭がまた湿り始めた。