シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
考えろ。
考えて見ろ。
おかしなものはなかったか。
俺達が普通で、翠達が異常となる…そんな契機はなかったか?
必ず異変の起因はあるはずなんだ。
判らないのは、それが原因だと思っていなかったから。
――櫂殿。
その時、ふと……思い出したのは、
『櫂、俺……チビサクラの言葉を思い出したんだけど』
「奇遇だな、煌。俺もだ」
――剣鎧は……いつもあんな感じぞえ?
恐らく、煌は同じ事を思っているはずだ。
ならば俺の考えは、正しいと言えるだろう。
煌の本能に勝る、最短の解答はないから。
「お前はどう思う?」
『ああ。まさかとは思ったけれど……だけど思い返してみたんだ。明らかに、"あいつ"はおかしかった。今思えば……初めから全てが作為的。それを性質だの優しさだのと受け取っていたから、そこを利用されて…俺とチビは閉じ込められた。警戒を怠っていたばかりに』
「同感だ。俺もまた、重要な位置に奴を据えた。まさか、周涅の息がかかった裏切り者であったとは知らずに。俺もまだまだだな。
奴を何とかすれば、異常は解除されるだろう。あくまで希望的観測だが、今はそれに縋ってみるしかない」
『おう。けど意外だな、櫂なら…仲間を信じ抜くと言うかと思った』
「仲間を信じるが故に。お前だってそうだろう? このままなら――」
『ああ。俺もあいつを信じているからこそ、裏切り者は許さねえ』
「煌。3だ」
『了解。行くぞ、3、2、1――』
そして俺は闇の力を――。
煌は炎の力を――。
同じ場所目がけて放ったんだ。
そう。
空に舞う、吉祥に向けて。