シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


同時に、俺達の力を跳ね返す力も大きくなる。


「吉祥様、なにが真実でなにが偽りか、吉祥様ならおわかりになるはず!! 偽りの主に、心まで追従なされるな!!」

切迫した護法童子の声。


「ぐがあああああ、剣鎧、貴様~!!」


金色の光が、後追いするように俺達の力を覆った。

目も眩むほどの目映い光と、凄いエネルギー量を感じる。


「これが……護法童子の力!?」


俺はその眩しさに、思わず目を細める。


「うわわ、お前が小小々猿か!? チビをどうする……」


その間、護法童子は瞬時に煌のもとに移動したようだ。

速度すら、以前の比ではない。

まさに神速。



「我の回復術は短期。その短期でレイ殿の命はお守り致す。我が命に替えても」

「命ってなんだよ、ゴボウちゃん!!」

「おわかりになっているはず、翠殿。もともと、翠殿は願われたではないか。我が身がどうなろうとも、大切な者達を護りたいと。そして我ら式神は生まれ出でた」

「だからといって……!!」

「翠殿。正直言うと、我は揺れました。多大なる力の奔流に、傾きかけた。しかし、それを見ていながらも、櫂殿、ワンコ殿は、我を疑わなかった。それがどんなに嬉しかったことか。

そして翠殿は、吉祥様を生かす方法を望まれた。裏切っているとわかっても尚、式神という使い捨ての存在の延命を、共存を続けて懇願された」


そして少しの間を置いて、護法童子は言う。


「出来損ないの姿晒していた…この一介の従者に、我ら式神に、信頼という心を下さったことは、光栄至極。ありあまる名誉のこと。我にとって翠殿以上の主はおりませぬ。翠殿はよき仲間に恵まれ、そして成長なさっている。ならば我も、式神の掟を破って本来の姿に戻り、翠殿のためにこの命捧げることに、躊躇ありますでしょうや!! ましてやレイ殿という、友の危機を見過ごす剣鎧ではありませぬ」

「チビ、チビ!? チビが…息をしてねえ!?」

「翠殿。我は消えますが、心は…翠殿の我を作られた体の中に。最後の…石碑を護るという役目は果たすだけの心は残しました故。最後まで翠殿の御心に従います」

「嫌……だよ、なにしんみりしてるんだよ、ゴボウちゃん!! 従わなくて良いよ、式神だけど、ゴボウちゃんとは友達だろ!? 俺達、頑張ってここまできたじゃないか!!」

「翠殿は聡明で、偉大なる術者。自信を持って下され。我ら式神、翠殿を裏切ることはありませぬ。翠殿は此の世で一番の主。我を友と呼んで下さる方は、他にいませぬ。

我は……本当にいい主を持った……」
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