シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
再会
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「由香ちゃあああん!!!」
「神崎ぃぃぃぃぃ!!!」
「「うあああああん!!!!」」
あたしと由香ちゃんは、しっかりと抱き合いながら、感動の再会に泣いた。
――師匠、神崎!!! ただいまッッ!!!
突然、由香ちゃんは現われた。
唐草模様の風呂敷包みを背負いながら。
その後ろには、桜ちゃんが水差しとコップをトレイに乗せて立っていた。
「由香ちゃん、よかった!! 由香ちゃん無事だったあ!!! おかえりなさい~ッッ!!!」
うあああんとあたしが泣けば、
「神崎ぃありがとお~!!! 嬉しいよ、ボクのことをそこまで心配してくれていたなんて。その首の痕とツッペみたら、師匠共々、今の今までボクのこと忘れて何イチャついてたんだコラとか、一瞬思っちゃったよ~。ごめんね~」
うおおおおん、と由香ちゃんも泣く。
「由香ちゃんを忘れるわけないじゃない。イチャつくって何~!!? あたしね、病気にかかったの、"愛欠乏症"だって。玲くんに定期的に愛情貰わないと、この慢性病が治らないんだって~。とっても怖いんだ、うああん」
「……。師匠、何だよそれ~ッッ、うおおおん」
げほっ。
その中、玲くんが異質な…咽(む)せた音を奏でる。
「ああ、僕は大丈夫…げほげほっ。あ、ありがとう…桜」
横目で見たら、桜ちゃんは水差しからコップに水を注いで玲くんに渡している。
玲くんは依然げほげほしながらも水を飲んでいるみたいで、大きい身体を小さく丸めて水をコクコクと飲むその様は、小動物みたいで可愛い。
「神崎~。いつも鼻血出す程の愛を貰っていて、それで何で"愛欠乏"状態になるのさ~」
「あのね、初めてのか、かかかかか"彼氏サン"、か、かかかか…ぐすっ」
「神崎ぃ~。真っ赤になって泣きながら変な笑い方するなよ~。師匠も爽やかな顔して随分な欲求不満を溜め込んだ、隠れ超肉食だからね、"愛欠乏"は師匠の方で、師匠の為の栄養補給のような気がするんだけどボク、うおおおおん」
ぶー。
玲くんが、水を噴いた。
「あ、ご、ごめん…桜ッッ!!」
玲くんは焦った顔で、傍のタオルで桜ちゃんの顔を拭っている。