シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

そして玲くんはお父さんを見た。


『話戻すけど、0と1の増産を至急行いたい僕としては、僕だけにかかるリスクを抑え、0と1の増産口を増やすことで対応したい。意味わかるよね? つまり"ここ"で貴方がしようとしていたようなものだ。僕が……』


リスは笑っているようで、怒っているようで。


『いや、僕なら完全に制御できるだろう。

――この塔に隠匿していたものを』



なんだろう。

玲くんの言葉が、やけに重々しく心に迫った。


『し、白き稲妻……気づいていたのか!?』

『最初はわからなかったよ。だけど、僕と同じように0と1を作れるもので、電脳世界に愛された存在となるなら、薄薄とでも予測はつくものだろう?』


予測のつかないあたし達は互いに顔を見合わせた。


『表世界から消えた僕の父は、実験データだけではなく、"それ"を持って表世界からいなくなったんだ。だからこそ、僕を中心とした……人を人とも扱わない、いや、人という形態などどうでもいい……非人道的なティアラ計画なんていうものがいまだ進行していたんだ』


玲くんの声は嘲りに近い。


『そして。僕が関係したものがこの世界にもあって、この世界の防御となりえるまでに電脳世界の力を持ち、そして"それ"を表世界では不可能だった"人"が制御出来るというのなら、"それ"が……人語を理解できるもの、あるいは学習できる知能があると考えた方が自然だ』


びくりと、お父さんの肩が揺れる。


『会わせて貰うよ、僕の――』


玲くんの声が、涙でにじんだような声になる。



『僕の……子供達を』







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