シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「「「「………」」」」
『ラーブ、ラブリー、ひいちゃん』
由香ちゃんが、無言でメールを開く。
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差出人<aoao@ares_ioa.com>
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宛先<hihi@teraikemen.net>
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ごめんね~☆
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ごめんごめん
二宮さんが勝手に
返事しちゃったみたい
(●´ω`●)ゞ
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「二宮さんって誰だろう?」
「あの氷皇のアド、会社だっていうのなら…秘書とか?」
「秘書に、あんな脅迫メール見せてるの!!?」
「結構…時間に細かそうな方ですね」
最早、誰も顔文字には突っ込まない。
あえてスルーだ。
そんなことより、皆思ったと思う。
二宮さんがどんな人であれ…
あんな胡散臭い男の秘書をしないといけないのは、可哀相だと。
続きがまだある。
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お返事ありがとう~!!!
例え4.12秒程遅くても
アオの愛は皆に反応して貰え
アオは凄く愛されているって
実感します
。゚:;。+゚(ノω・、)゚+。::゚。
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「…誰か、蒼生ちゃんを凄く愛して上げた?」
「ボクは皆無」
「僕も皆無」
「私もです」
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ちゃんと手紙は読んでね?
優しいレ イ ク ン☆
読んでくれないと…
「この」
「その道のプロが加工した」
素晴らしい絡みを見せる
貴重動画を「公開」
しちゃうからね~☆
あはははは~
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「やだ、脅迫ネタに使われるの? あの動画」
「うわ…既に加工済みで、青色に腐れてるのかよ…」
「何だか洒落にならない…。本当の悪徳だ」
「…プロに頼んでまで、何で手紙に誘導したいのだろう…」
そしてあたし達は、否、由香ちゃんは。
青い手紙を足で引き寄せた。
手なんて使いたくない。
気持は全員一緒。
「嫌な匂いがするね…」
「だけど由香ちゃん、榊さんの転院先かも知れないし…」
「そう思えないのは何故だろう?」
「玲様、元気をお出し下さい」
「宛名は僕だから…じゃあ…行くね」
ビリ。
玲くんは封を切った。