シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
多分俺なら、いじいじうじうじ。
何処までも玲にやつあたりして縁すら切って…もしかする激昂のあまり、芹霞を襲っていたかもしれねえ。
折角朱貴から、無償の愛というものを教えて貰っても、それすら忘却しはて、力で芹霞を抑えつけ、自分の愛をただひたすら訴えてぶつけていた気がするんだ。
理性なんてねえ、本能の赴くままに。
どうして玲?
どうして俺の心は届かない?
自分のしでかした罪すらも棚に上げ、ただひたすら…病的に芹霞を求めただろう。
暴走して、色々なものを再生不可能までに破壊して、周囲も自分も…破滅させていっただろうと思う。
破滅とは停滞。
俺はきっと、悪循環な…嫉妬という輪に縛られていたはずだ。
未来に展望なんてありはしねえ。
だからこそ今――
俺には、櫂が必要だ。
櫂といることで、自分を制御出来る。
守るという使命感が、嫌な記憶を上塗りしてくれる。
そうだ。
櫂の存在が、俺を制御してくれるんだ。
俺には過ぎた幼馴染の存在が、俺の救いだ。
桜には悪いけれど…
俺――
櫂と居れたことに感謝してる。
なあ…桜。
俺もまた、心を鍛えてえんだよ。
愛に盲目になることで、
周りが見えねえ自分になりたくねえ。
誰も危険にさらしたくねえんだ。
櫂と共に、俺だって強くなりてえんだ。
愛は滅ぼすものではなく――
俺にとっても、
強くなる為の、創生の力にさせてえんだよ。
無二なる力として、
体の隅々まで循環させてえんだ。
玲…。
俺もお前が好きだ。
お前を救いたい。
だけど櫂同様…
俺だって芹霞が好きなんだ。
だから――
もがかせろ。
あがかせろ。
お前が罪悪感を感じているのは判っている。
ならば――
俺達の反撃を受けるのを、罰としろ。
追いかけられる立場で、
それでも芹霞を手に入れられるのか。
それでも芹霞はお前を選ぶのか。
俺は…
強くなるから。