シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「お、おま…櫂!!!?
おい、小猿、小猿!!!?」
俺は…穴から覗き込んで、小猿の名前を叫び続けた。
「櫂、櫂!!! 小猿が居ねえ!!! 溶岩にどっぷり浸かったんじゃねえのか!!!? 小猿、おお~い、小猿!!!!」
その時だった。
「!!!?」
居なくなったはずの床に、突如小猿が現われたのは。
「は!!!!?」
驚いた顔をしているのは小猿で。
「溶岩じゃなくて、俺…びっくりして、思わず…反射的に"地面"蹴ったら…壁抜けの力使ってないのに!!! は!!!!? 何で戻れた!!!?」
何を言っているのかさっぱり判らねえ!!!
"何で"と聞きたいのは、俺だっつーの!!!
小猿は力を使わず帰ってきたらしい。
「まだ頭が回って気持ち悪い…。力使ってないのに~。変な幻でもみたのか、俺…。地面が…空が…」
何だ?
一体、小猿はどんな瞬間旅行をしてきたんだ!!?
櫂は笑って、喫茶店の円形の床の方に近付き、それを持ち上げ…穴に向かって、それを足で蹴り飛ばした。
何故だ…。
何故…穴よりでかい床が、小さい穴にすんなり消える?
そして――
「何で、この部屋の下から…ぶつかった衝撃するよ!!!? なんか頭ぐらぐらする衝撃だぞ!!?」
よく判らず、ぐらりとくる眩暈を抑えて、ただもう驚くばかりの俺は…
「うわあ!!!?」
真っ平らのはずの床の…何かに躓くようにして、思わず体勢を崩し…穴に墜落!!!
ぐわんぐわんという、更に激しい耳鳴りのような頭痛と眩暈堪えて…落下の終点に行き着けば、空から燦々とした陽光。
……光?
「はあああああ!!!!?」
振り仰げば…青空。
溶岩なんて何もなく、足元には地面。
……地面!!!?
何で地面よ!!!?
緑の草が生い茂る…草原が広がっていて。
草原!!!?
俺…穴から落ちたのに、何で青空と草原!!!?
俺は1人で、目に見える光景に突っ込みまくる。