シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
うわ…ひでえ…。
「もしよ…溶岩だったらどうしてたんだ?」
「その時は、俺とお前が助けたさ。問題ない」
………。
自信満々なその顔は、多分…櫂だから許されるんだろう。
気高き獅子は、揺るがない。
さすが、俺の幼馴染。
そんな俺達の会話知らずして、
「俺は…やれば出来る(かもしれない)男に近付いた!!! 葉山、俺は…!!!」
小猿は感慨無量。
お前…結局、動けなくて櫂に放り込まれたんじゃねえかよ…と突っ込みたい気もしたけれど。
臆病な単純小猿にとっては、ほんの少し…前向きな自信がついたようだ。
――荒療治だ。
櫂が言っていた言葉に、緋狭姉の言葉が重なった。
緋狭姉相手なら、俺…問答無用で本気に溶岩に突き落とされていたかもしれねえと、密かに身震いしたのはここだけの話。
櫂は意外に、緋狭姉の系統なのか?
まあ…緋狭姉に鍛えられたのなら、アカ色に感化されてもおかしくねえけどよ…。
そういや玲もそうだよな…。
………。
櫂のSは、血筋かもしれねえや。
「なんや…」
突如、俺の視界にぬっと情報屋が現われ、驚いた声を出してしまった俺。
少々不機嫌そうに、アホハットは頬をぷくりと膨らませている。
お前何歳だよ?
「なんや、見えてしもうたんかいな、もう…」
そして小さく尖らせた口を、更ににゅうと突き出してねじ曲げ、
「もう少し…悩みはるかと思うてたのに…。ひーちゃん…ぶうぶうや~」
「がはははは!!! 若者の力を侮るな、情報屋」
ばんばんと大きな手で、アホハットの肩を叩いている。
「ということは、正解で良いんだな?」
そう櫂が問えば、アホハットは俺達を見渡し、
「これだけ早く判られれば…
文句なく、テストは合格や」
躊躇いなく言い切った。