シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
そんな煌を完全無視でいる、情報屋とクマ。
意味ありげな…あの忌まわしきiPhone覗き込み、何やらひそひそ話。
「ほうほう、今度はこれか」
「な? 中々のもんやろ?」
あの機械には何が書かれているのか。
あれを見れば、俺達は速攻深層部に行き着くの(だろう)に…。
早くすませて、
しなければならないことは多々あるのに――
ああ、もどかしい。
「だから!!!『○○』って何よ!!?
俺達馬鹿にしてるのか!!!?」
煌がキレかけ、情報屋の胸倉を掴んだ。
足が宙に浮き、手足バタバタと動かしてぎゃあぎゃあ騒ぐ様は…まるで巨大なオウムが暴れているようだ。
「何処が馬鹿にしとるねん!!! その道は、『○○』が駄目駄目っちゅうことねん!!! めっちゃ、判りやすいねん!!!」
「何処が判りやすいねん…しまったつられた。判りやすくなんてねえじゃないか!!! 胡散臭いだけじゃねえかよ!!!」
「ワンワンはん、これも鍛錬や!!!
強うなりたいんやろ?」
情報屋は煌が…いや俺達が、一番弱い言葉を悪魔のように囁いて、にやりと意地悪く笑う。
煌は舌打ちして、聖から手を離した。
「さてさて、第二ステージの概要を説明しまひょ」
煌から放り投げられた状態のはずの聖は、素人とはまるで思えない…身軽な身のこなしで、すくりと地面に立っている。
「さてさて。この先がどうなってるのか、立て札が示しとりま。お1人ずつ3方向に進んでもええ。3人ずつ1つずつ進んでもええ。
ただ、このステージクリアの制限時間は決まっとる。1時間や。そやから、3つの道を全員で進むなら、1つの道は、20分程でクリアせなあかん。
各道をクリアするには、最奥に用意されてる封筒を手にして、傍のボタンを押せばええ。封筒を開けずに此処まで持ち帰って貰いまひょ。
封筒には最終の問題が入っておるんや。それを合計3つ集めれば、そのまま最終問題突入や。
そしたらひーちゃんのこの帽子を被り…この紐を顎で縛って、そして此処から長いコードで繋がる、このボタンを押して…」
ピコン!!
音がして、黒いシルクハットから…"?"マークに切り取られた大きな紙が、ぴょこんと立った。
「これで正解すれば第二ステージクリアや。
どや。この帽子凄いやろ~!!!」
「「「………」」」
俺達は…言葉を失った。