シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


そんな煌を完全無視でいる、情報屋とクマ。

意味ありげな…あの忌まわしきiPhone覗き込み、何やらひそひそ話。


「ほうほう、今度はこれか」

「な? 中々のもんやろ?」


あの機械には何が書かれているのか。

あれを見れば、俺達は速攻深層部に行き着くの(だろう)に…。


早くすませて、

しなければならないことは多々あるのに――


ああ、もどかしい。


「だから!!!『○○』って何よ!!?

俺達馬鹿にしてるのか!!!?」


煌がキレかけ、情報屋の胸倉を掴んだ。

足が宙に浮き、手足バタバタと動かしてぎゃあぎゃあ騒ぐ様は…まるで巨大なオウムが暴れているようだ。


「何処が馬鹿にしとるねん!!! その道は、『○○』が駄目駄目っちゅうことねん!!! めっちゃ、判りやすいねん!!!」


「何処が判りやすいねん…しまったつられた。判りやすくなんてねえじゃないか!!! 胡散臭いだけじゃねえかよ!!!」


「ワンワンはん、これも鍛錬や!!!

強うなりたいんやろ?」


情報屋は煌が…いや俺達が、一番弱い言葉を悪魔のように囁いて、にやりと意地悪く笑う。


煌は舌打ちして、聖から手を離した。


「さてさて、第二ステージの概要を説明しまひょ」


煌から放り投げられた状態のはずの聖は、素人とはまるで思えない…身軽な身のこなしで、すくりと地面に立っている。


「さてさて。この先がどうなってるのか、立て札が示しとりま。お1人ずつ3方向に進んでもええ。3人ずつ1つずつ進んでもええ。


ただ、このステージクリアの制限時間は決まっとる。1時間や。そやから、3つの道を全員で進むなら、1つの道は、20分程でクリアせなあかん。

各道をクリアするには、最奥に用意されてる封筒を手にして、傍のボタンを押せばええ。封筒を開けずに此処まで持ち帰って貰いまひょ。

封筒には最終の問題が入っておるんや。それを合計3つ集めれば、そのまま最終問題突入や。

そしたらひーちゃんのこの帽子を被り…この紐を顎で縛って、そして此処から長いコードで繋がる、このボタンを押して…」


ピコン!!


音がして、黒いシルクハットから…"?"マークに切り取られた大きな紙が、ぴょこんと立った。


「これで正解すれば第二ステージクリアや。

どや。この帽子凄いやろ~!!!」



「「「………」」」


俺達は…言葉を失った。
< 171 / 1,366 >

この作品をシェア

pagetop