シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
俺達を待ち受けていたのは3つの道と立て札。
それが裏世界へと続く必須の道ならば、さてどのように進むべきか。
どの道も単純には…いかない気がする。
どの道を、誰が行くか。
1つの判断ミスが、1時間という時間制限に影響を与えることになりかねない。
ちなみに最終問題は1時間に含めなくてもいいらしい。
制覇すべきは3つの道のみ。
「アホハット…もう時間はカウント始まってるのか?」
「立て札通り過ぎた処からカウント開始にしといたるから、此処では気にせんとき。思う存分優しいひーちゃんを褒め称え…って、ワンワンはん!! 最後まで人の話を聞きや!! そこが肝心やろ!!」
「櫂、どうするよ? この道…俺達3人…3つに分かれるか?」
まるで情報屋の言葉を聞いていない煌は、真顔で俺に尋ねてきた。
横には翠が不安げな顔をして、俺の返答を待っているようだ。
「煌はどう思う?」
「俺か…? 俺は…正直櫂を守りてえし、小猿もまだ1人じゃ不安だ」
確かに――
ネックは…翠なんだ。
『攻撃を禁ず』
逃げ回る羽目になるのか?
『防御を禁ず』
攻撃し続けることになるのか?
『○○を禁ず』
………。
想像つかないが…
いい予感はしない。
「まだ初回。どんなものが待ち受けているか判らないし、時間制限もある。ここは安全策で全員で進もう」
「……まあ、妥当だな」
翠は何も言わず、唇を噛みしめていた。
その旨告げると、情報屋は問うてくる。
「3人で、何処に進むつもりや?」
とりあえず俺達の見解の一致としては、『○○』は何が出るか判らず、時間がかかると思うから…最後にしようということで。
禁じられているのが攻撃でも防御でも、どっちもどっち。さして差違のないことに思えた。
だったら単純に――
「左から行く」
即ち、『攻撃を禁ず』道を。
2人は俺に同意して頷いた。
「決定やな?」
「決定だ」
「ではまず、着替えを渡しまひょ。もっと動きやすい服装になった方がええ。ま、その理由は…行ってみれば判るやろ」
何故か用意されていた…畳まれた服の山。
「全員同じ色にしてもらいまひょ。黒色と青色がありますが、何色で?」
「「黒」」「青」
翠だけ、意見が割れる。
「「………」」
俺達はじっと翠を見ると、翠は少し怯んで仰け反った。
「どないしまひょ。もう一度聞きます、黒と青どちらに?」
「「黒」」
「翠はんは?」
俺達はじっと翠を見る。
「………。く、黒…」