シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「なあ…紫堂…まだ居たいのなら…」
「いや、行こう」
櫂は、遠坂に言った。
「幾ら考えていても…無駄に時間が過ぎてしまうだけだからな。それなら…少しでも早く、緋狭さんを…久遠達を助ける手段を探して助けに行かねば。それが…俺が久遠と緋狭さんと…約束したことだから。
俺は…完璧にやり遂げねばならない」
櫂がそうにやりと笑うから、俺は笑って櫂の肩を叩く。
正直――
玲と桜と芹霞が気にならないわけではない。
それだけではない、朱貴と七瀬も気に掛かる。
俺は――
皆との約束を何1つ実行出来てねえんだ。
俺は小猿と約束した。
七瀬と朱貴を助けると。
俺は朱貴と約束した。
必ず七瀬を助けると。
玲とも約束した。
必ず結婚話は破談にさせると。
諦めてねえよ、俺は。
しぶとさだけがウリだから。
…なあ、桜?
俺の能力のなさが招いた失態なら、
必ず挽回させてみせる。
必ずやってみせる。
櫂が居るんだ。
櫂が居て、出来ねえことはない。
そうだよな?