シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「おかしいな、変更…したのかな」
「だったら…"エディター"か一縷かが…変更して更新をかけていると…?
ねえ…"エディター"だったら…金翅鳥(ガルーダ)に焼かれても生きているってこと? それとも焼かれたの…やっぱ偽者だったってこと?」
由香ちゃんが困惑したような顔をした。
「"エディター"であれば、謎は残るね。更新日は…うん、ちょっと前だ。ということは、何者かがこのブログを弄ったのは確かだね」
そして僕は一度TOP画面に戻り、ゲストとしてのID・パスワードを適当に入れてみた。
「当然…弾かれるよね。これ…会員制みたいだから」
僕は溜息をついて、画面を見つめる。
「だったら、新規入会してみれば? 師匠」
「此処よく見て? "現在、新規入会は募集しておりません"」
困ったな。
初期段階で躓(つまづ)くなんて。
「僕のコンピュータがあれば、プログラム走らせればID・パスワードくらいすぐに探し出すけれど…。こうなったら…中身を見れた紫茉ちゃんに、そのIDとパスを教えて貰うとか…」
「紫茉ちゃんに!!!?」
きらきらきら…。
やばっ!!
「…あ、彼女がこちらの応答に応えられる状態であればの話で…」
紫茉ちゃんの名前を口にしたことを後悔する僕。
「きっと紫茉ちゃんはそれ処じゃないから、別の手段を…「紫茉ちゃんに電話かけてみようか!! うふふふ、久しぶりの紫茉ちゃんの声…うふふふふ」
きらきらきら…。
僕には見せない、きらきら…。
ふわふわと…まるで宙に浮いているかのように浮き足立って歩いて、携帯を取り出した芹霞。
ねえ…なんかさ。
紫茉ちゃん相手の方が恋人みたいだよね。
好きで好きで堪らない、そんな顔をしているんだけれど。
………。
僕が恋人なんだ。
僕の芹霞なんだ。
………。
僕…そういう顔をさせてたくで仕方が無いんだけれど。
そういう顔させる為に、苦労してるんだけど。
………。
僕…男なんだけど。
清く正しくを捨てたい、君が恋しくてたまらない…ただの男なんだけど!!