シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

………。

恋愛運…。


僕と芹霞と櫂の恋愛運…。

知りたくないけど知りたい気もする。


芹霞の運命の相手、

僕だったらいいな…。


作ってみようかな、僕…。


………。


――あははははは~。


いけない、私情に飲まれるな。


僕はぶんぶん頭を横に振り、本来持つべき筈の心を復活させる。


何で今、こんなものを作らないといけないんだ。

そう、それこそが正常な感情。


――あははははは~。


「……ふう。由香ちゃん、占星術(ホロスコープ)の図の作り方を解説しているサイト見つけてくれる?」


そう、これは…

櫂と煌の人生がかかっているんだ。


胡散臭いあの男のこと、画像に目隠しでも何でもして…櫂だということを隠しても、マニア受けする凄い肉体を加工して用意しているはずだから。


櫂の矜持と名誉に関わる。

僕、頑張らなくちゃ。


僕と芹霞の恋愛運は、気にするな。

僕は男だ、オトメじゃない。


――あははははは~。



「………!!!」


その時だった。

大きな気配を感じたのは。


それは先程の不可解な気配ではなく。


「玲様…」


僕を見る桜に、僕は表情を変えずに頷く。



「帰ってきたようだね…当主が」



久涅の気配は感じない。


あのまま…ただの会話だけでは終わらせないだろう。

当主は一度口にしたことは取り消さない。


――子を成して貰う。



僕は…心配げな顔を見せる芹霞に、心配ないよと微笑みながら…僕自身の不安をかき消すように、芹霞の手をぎゅっと握り締めた。



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