シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
今の処、緋狭さんもどきの攻撃は金翅鳥(ガルーダ)の炎だけ。
緋狭さんもどき自身は傍観しているだけで、攻撃してこない。
攻撃レベルが初期だからなのだろうか。
これで緋狭さんもどきが、本物の緋狭さんのような攻撃力を持っていたら、俺は躱(かわ)しきれるだろうか。
もどきの攻撃力は未知数なれど、この金翅鳥(ガルーダ)を操れるのであれば、相当な力を持つ贋物のはずだ。
『いろいろ、なにいろ~?
あははははは~』
また胡散臭い声が聞こえてきて。
「気をつけろ、煌、翠!!! 色が変わるぞ!!!」
最後の青色を片足で踏んで、宙に飛び上がった時、
「シロッッ!!!」
緋狭さんもどきが叫ぶ。
途端に、今まで何とか見慣れてきた石畳と周囲の景色の色合いは、瞬時に別色に切り替わった。
そして俺達は、躊躇(ためら)いながら…新配色の景色の中、白色に触れていくことになる。
クアアアアアア!!!
金翅鳥(ガルーダ)はまだ消えない。
「えええ!!!? ニノ、金翅鳥(ガルーダ)は消えねえの!!?」
『お答えします。オニの攻撃は、追加はあっても減じることはありません。イヌ』
「櫂…これ、結構ハードだぞ? ひっきりなしの金翅鳥(ガルーダ)の攻撃躱(かわ)しながら、休憩の暇無く、瞬時に移動場所判断して動かないといけねえし…。小猿が心配だな。俺、抱えようかな」
「多分、翠が動いていないということで、10秒定義(ルール)を適用される。翠自身に踏ん張って貰うしかない」
その時、突然視界に"異物"が現われて、思わず目を見張る。
「うわ!!!? これが…首飾りつけた人形か!!?」
その数はかなりのもの。
首飾りをとれるチャンスが拡がった分、移動出来る場所をそれに占拠された形で、更に俺達の動きが制限されている。
「これ…お面つけてるけど、芹霞と玲と桜と遠坂、久遠や蓮、チビや司狼!!? え!!!? めちゃリアルじゃん!!! だっせえお面つけてるけど!!!」
そうなんだ。
紙のお面に、"ボケ女"と書かれた黒髪風の少女は間違いなく芹霞。