シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

それだけじゃない。


"お色気担当"と書かれた…鳶色の髪のが玲。

"大人に成長中"と書かれた小柄なツインテールが桜。

"腐腐腐"と書かれたのが遠坂。

"ふさふさのオレ様"と書かれた半裸なのが久遠。

"嘆の部下1"とあるのが蓮、"笑の部下2"とある子供風が旭で、"眠の部下3"と書かれたのが司狼だろう。


しかし…芹霞のボケはいいとして、玲。

お前…切なさ担当じゃなかったのか?

いつからお色気担当だ?


あいつの色気は、芹霞への愛情の度合い。

だから最近は垂れ流しだった。


………。


今――…

どうなってるんだ?



………。


視界に映るのは、バリエーション豊かな人形達。

嫌でも目に入る…玲と芹霞の人形。

………。

寄り添う2つの人形。

唇を寄せ合うVer、抱き合うVer。


………。


玲の人形が一方的な"攻撃"をしているのなら、まだ何とかかろうじて我慢できる。


――玲くんが好きです。


玲もどきの背中に回る、芹霞もどきの手。

玲もどきの首に手をかけ、爪先立ちをする芹霞もどき。


………!!!!



「櫂、駄目だ!! 白い王子様でも、白じゃねえの触ったら…!!」


ピーッッッ!!


………!!


やばい…。



「攻撃レベル…アップ…」


緋狭さんが言うと…


グアアアアア!!!


金翅鳥(ガルーダ)の炎の量が更に増えた。



「悪い…つい…」


先程よりも移動するのが困難になった過酷な環境を、作り出したのは俺の嫉妬。どこまで俺は狭量なのか。


心を落ち着かせろ。

些細なことに心乱すな。


ここに居るのは…

本物の芹霞じゃない。
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