シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「煌、そっちに緋狭さんが行った!!!」
「は!!? あ!!!? うわわわわ!!!?」
突如宙に現われた緋狭さんは、煌と翠に向けて、無くしたはずの利き腕にて手刀を突きだして。
その速度に空気が裂かれたのが、俺にまで感じた。
「やべえな。また10秒定義(ルール)にひっかかる。小猿、シロを踏めよ!!! 最低2つ見つけて、行ったり来たりしてろ!!!」
そう翠を宙から落とした時、また緋狭さんの手刀が…更に速度を増して、煌の目の前でぐんと伸びた。
「煌!!!!?」
ガシイッ!!!
煌は間一髪、腕でそれを弾いた。
それは条件反射的な…組み手の一環のようなものだったけれど。
ピーッッ!!!
「煌、緋狭さんに触れては駄目だ!!!」
「ああ、そうだった!!! やべ!!!」
「レベル…アップ」
にやりと…宙で緋狭さんが笑った気がした。
実際はオニの紙面で表情は判らないのだけれど。
更に緋狭さんの速度が上がり、今度は足も使った攻撃を煌は食らうことになる。
「あ、ちょっ…なッッ!!! ひ、緋狭…うわッッ!!!」
「煌、一先ず地上に降りて白を踏め!!! お前も10秒定義(ルール)に…」
「ま、待て…行け…うわッッ!!? くそッッ!!! 動け…」
ピーッッ!!
またホイッスル。
10秒定義(ルール)だ。
「攻撃、更に1追加…」
そして今度は俺の前に、緋狭さんは現われたんだ。
「ええええ!!!? 緋狭姉、此処にいるのに!!!?」
つまり…もう1人、緋狭さんもどきが増えた。
俺がそれまでに取れた首飾りは、20個余り。
クリアするにはあと390。
邪魔する攻撃程度は凄まじくなるばかりで、気が遠くなる話のように思えてきた。
やばい。
本当にやばい。
こんなの…15分で終われない。
1時間でも…出来るのだろうか。
「ニノ、経過時間!!!」
『お答えします。7分です、櫂様』
半分の時間で…まだ20個…。