シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
俺は…真下に居る翠に叫んだ。
「翠!!! 行ったり来たりはもう駄目だ!!!
1度触れた場所は戻れない!!!」
つまり、何処に触れたのか覚えておかねばならなくなって。
『新定義(ルール)を適用するよ~☆
あははははは~』
翠は、騒いでその場から動き始めた。
ピーッッ!!!
「この緋狭姉…何とかしてえよ!!! 何で…手に、炎を纏(まと)いだすよ!!? もう別に良いだろうよ、そのままで十分強すぎるじゃねえかよ!!! ああ、また髪がうねったら、どうすんだよ!!!」
炎!?
煌が相手している緋狭さんもどきの拳には…確かに炎が見える。
そして煌は、避けきれず…髪先を焦がしてしまったらしい。
「定義(ルール)追加。
留まれるのは3秒」
やばい。
これは…。
「煌、翠!!!
移動は3秒に変更だ!!!」
「「ええええ!!!?」」
俺だって、声を上げたい。
『新定義(ルール)を適用するよ~☆
あははははは~』
俺達には、一段と余裕がなくなっていった。
ピーッッッ!!
「定義(ルール)追加。
留まれるのは1秒」
「「はあああああ!!!?」」
一瞬の油断が、そのミスが…自分達の首を絞めていく。
『新定義(ルール)を適用するよ~☆
あははははは~』
1秒だ。
1秒で次を判断していかねばならない。
『いろいろ、なにいろ~?
あははははは~!!!』
頭でルートを確立出来ても、
そういう時に限って…色が変わる。
「アカッッッ!!!」
悪しき事態が重なっていく。
「ええ!!? 赤!!? 赤なんてめっちゃないじゃんか!!! で、前踏んだ処踏めないんだろ、嘘、嘘、嘘~!!!?」
ピーッッ!!!
「攻撃、追加」
3人目の緋狭さんもどきが、今度は翠に向かう。
「翠!!!」
「小猿!!!」
翠に気を取られていた俺は、
緋狭さんもどきの膝を鳩尾に食らった。