シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「う……っ…」
ピーッッ!!!
「定義(ルール)追加。
私の攻撃追加を、定義(ルール)追加に変える」
つまり…
益々制限が…条件が増えていくということか。
これ以上は…無理だ。
肉体と精神が不均衡(アンバラス)になって、
歪んだような不協和音を奏でているのがよく判る。
考えたい。
もっと冷静になって自分を取り戻したい。
だけど――
グアアアアアア!!!
そんな余裕がないんだ。
ああ――
混沌(カオス)だ…。
何をどう考えていいか判らない。
目まぐるしく変わる"変化"に、心休まる瞬間がない。
『新定義(ルール)を適用するよ~☆
あははははは~』
首飾りをあと390個とるまで、終わらない。
俺達のリズムが取れない。
ただなされるがままの攻撃に流されて。
ただ色見つけに躍起になって。
金翅鳥(ガルーダ)の炎に踊らされて。
3人も居るのに――
何たるザマだ。
リズム…さえ取れれば。
リズム…
「リズム…?」
緋狭さんもどきの攻撃は…
一定のリズムを刻んでいる気がする。
それが、俺達のペースを…リズムを狂わせているのか?
だとしたら…。
だとしたら――?
「ニノ!!!
音楽をかけろ!!!」
俺は叫んだ。
「「え!!!?」」
「テンポは…ああ、そうだ。あれがいい。
Zodiacの『慟哭の薔薇』」
「ああああ!!!? それ、桐夏で俺とお前が歌った、酷いアップテンポの奴じゃねえかよ!!」
「お、俺も聞いた…俺も…」
「そうか、翠も聞いていたのなら話は早い。
ニノ。オケバージョン、最大音量で」
『お答えします。畏まりました』
さあ…
功を奏すか。
ベースの叩きつけるようなチョッパー奏法にて、一度期…耳慣れた早い旋律が響いてきて、…そして重く激しいドラムが始まった。
「――煌。
一緒に歌うぞ。
翠、お前も…メロディーだけでも歌え」
「「はあああああ!!!?」」
2人は、裏返った声を出した。
◇◇◇
《UnderWorld 003》