シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

旋律 煌Side

 煌Side
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空からは、金翅鳥(ガルーダ)が猛烈な炎を吐く。


その中で、両腕のオニ緋狭姉が、尋常じゃねえ速さで連続攻撃をしかけてくる上に、炎の力まで出してきた。


そして風景は、胡散臭いアナウンスを契機としてランダムに色が変わり、それを1秒でオニ緋狭姉が宣言した色に触れていかねばならねえ。


1度触った色の場所は二度と触れられねえオマケつき。


これは皆、俺達のミスのツケが回った結果とはいえ…3体の緋狭姉相手に、全員が全員とにかく逃げ回り、指定された色を触れていかねばならない状況。


最初はイケるかと思った俺も、次第に精神が追い詰められてきたのか…目に入るもの全てがやけに気になり、そして思考と体のバランスが崩れ始めてきたのは事実。


しかも俺は…重くて長い鎖までついている。


これが他のものを触らぬよう、動きに気をつけねばならねえ。


更に、キーキー小猿も気になる。

本当にハラハラだ。


もともと粗野でがさつで大雑把な性格の俺は、次第に…攻撃を禁じられたまま、言われるがまま、流されるがままに…あちこち気を回して逃げることしか出来ねえ状況に苛立ってきていた。


突如の定義(ルール)追加や変更にも、頭がついてこねえ。

何が新しくなった定義(ルール)?

どの定義(ルール)が変わったんだ?


俺、本当に頭使うことは苦手なんだってば!!


たかが首飾りを奪えねえって何よ!!?

奪えねえなら、この鬼ごっこエンドレスか!!?


状況は悪くなっても良くなることはねえだろう。

さっさと首飾り奪わねえと、分が悪くなるのは俺達だ。


焦ればミスも生まれる。

だけど焦らざるをえない。


最初の余裕が何処へやら。


そんな時だったんだ。


「――煌。

一緒に歌うぞ。


翠、お前も…メロディーだけでも歌え」



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