シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「そうだ、煌。耳で音楽を聞いて、歌詞を口に出して…ようやく、"ずらされていた"俺達のリズムが調整されていったんだ。
このゲームの定義(ルール)にただ闇雲に流され、勝手に調子を狂わせられていたことすら俺達は気づく余裕がなかった。
今、定義(ルール)に沿った速さの音楽に、理屈ではなく、自然と体が慣れて、自分主体で動けるようになったんだ」
Zodiacの曲、侮れねえ!!!
体が勝手に動けば…
余裕が出てくる。
思考は思考で勝手に動く。
体の動きは身体に任せ…思考は違うことを追いかけられる。
色のついた首飾り。
奪うことに専念できる。
くそっ!!!
あの玲と久遠が邪魔だけれど。
芹霞だけを担いで持ち帰りたいけれど。
触りたい場所が沢山あって目がちらちらするけれど。
平常心!!!
首飾りだけを見ろ!!!
首飾りだけ、首飾りだけ…。
おし、こいつ…いただきッッ!!!
「…煌、お前…芹霞の首飾りばかり選んでるよな」
……ばれた。
「独占してないで、たまには別の奴行けよ」
櫂がむくれた。
「た、たまたまだ、たまたま。あ、櫂!!! そいつは駄目だ、俺が行くッッ!! その…際どい…胸の谷間ギリギリの首飾りは絶対俺!!」
「……煌…。お前…何を基準で選んでる…?」
「――!!!!? に、睨むなよ、お前の相手は俺じゃねえッッ!! ふ、ふふ2人で仲良く芹霞を分かちあうぞ!!」
釈然としない顔をしながらも、何とか櫂が落ち着いた。