シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「俺、朱貴と紫茉を守る為、
皇城を立て直す為――
強くならないといけないんだ。
今の俺を超えさせてくれ」
明確な意思を告げた。
「へえ…翠はん。皇城の立て直しまで決意されたとは…」
飄々として笑うアホハット。
何だかさ…判っちまったよ、緋狭姉。
「これは…えらいこっちゃ」
皇城も…俺らの障害の1つなんだな?
世間知らずの小猿を育てろと…そんなとこか?
「朱やんに知られたらえらいこっちゃ」
「簡単だ」
櫂は平然と言いのけた。
「お前が、知られないよう操作すればいいだろう」
本当に何でもないように。
「か、櫂はん…そんな簡単に…」
「煌と翠の意思確認はした。
意義は…唱えさせない」
そこに居るのは…
『気高き獅子』。
アホハットは、降参と両手を挙げた。
緋狭姉が小猿を共にすることを望んでいたというのなら、"案内人"だかの食わせ者だったアホハットが知らねえはずはないだろう。
だからだな、薄く笑ったのは。
「紫堂、ボクとクマはどうする?」
遠坂が不安そうに言った。
「遠坂。悪いが…お前は玲の元に行ってくれ。お前の力も存在も…玲はきっと喜ぶから。俺の代わりに…支えてくれ。玲と…芹霞を…」
櫂…。
「ああ、それはいいけど…クマは?」
櫂は、ふさふさクマを見て言った。
「お前は…住んでいる世界に戻るだけ。
だから当然来るだろう?
――裏世界に」
「え?」
「クマ。お前が真なる"案内人(ガイド)"だな」
櫂の口調は、確信めいていた。