シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「煌、やめろ。俺はいいから!!!」
抵抗する櫂だけれど、俺を押し避ける力もねえみたいで。
「んなこと出来るわけねえだろ。
お前が知恵絞ってるのなら、俺は身体張る」
「ワンコ~」
「いいから、小猿。泣くなって」
くそっ…。
緋狭姉…容赦がねえよな…。
もうそろそろ…骨が逝くかも。
何処か抉られるかもしれねえや。
その前に金翅鳥(ガルーダ)に焼かれるか。
だけど。
俺、櫂と小猿を守るんだ。
せめてそれだけは全う出来たと、胸を張りてえんだ。
そう、痛みに歯を食いしばっていた時だった。
「ふむ…面白くないな」
全ての攻撃が止んだのは。
顔を上げれば…腕組みをしていた緋狭姉が不機嫌そうで。
嬲りが趣味だけではなく、この不機嫌オーラまで真似ることねえと思うけれど。
もし本物と似ていて、いつも通りの態度であるのなら、絶対…この先はよからぬことに展開する。
本能が危機を察して、俺は引き攣った。
緋狭姉の指先に、ちょんと止っているのは俺の天敵金翅鳥(ガルーダ)。
「金翅鳥(ガルーダ)を犠牲にして、裏ゲームの発動」
裏ゲームだ!!!?
あのおかしげな奴か!!?
緋狭姉の宣言と同時に金翅鳥(ガルーダ)が消えた。
「よし!! 煌のおかげだ!!」
櫂が弾んだ声を出した。
「ニノ、裏ゲームを説明しろ」
櫂が興奮したように聞くと、
『お答えします。オニが言った"2色"以外を触るゲームです。それ以外を触ると、今度は取った首飾りがミス1回につき20個減じ、持ち首飾りが無くなればマイナス換算されていきます。ミスによるオニの攻撃及び定義(ルール)追加は変わりませんが、その他今までの定義(ルール)は初期化され、また10秒定義(ルール)に戻ります。
それから、取るべき首飾りは、オニが言った色。触るものと取るものは色が違いますので、ご注意下さい』
オニが言わない色を触れ、10秒以上留まったらいけねえ新定義(ルール)。
取る首飾りは、オニが言った色。
ミスったら首飾りがなくなる上、オニが追い詰めてくる。
また…変わっちまったゲームのルール。
「判った。この重さを減じる方法は!!?」
ああ…もしかして。
櫂が狙っていたのは、この為か。