シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
観察していれば、それから枷は一気に軽くなったようで。
櫂も小猿も…表情が確りとしたものに変わったんだ。
特に小猿の変化は顕著で。
四つん這いで潰れていたのが、むっくりと起き上がり、やがて二足立ちして歩行を始めて、飛び跳ねたんだ。
猿が人間に進化していく過程を目の当たりにして、俺は感嘆せざるを得なかった。
櫂は体を伸して準備体操を始めていて。
「本当は…俺もお前に負けずに500kgと言いたかったが…何せ体力が落ちている最中、些細な見栄で足は引っ張りたくない。此処は素直になることにして、400kgをリハビリとした」
そう笑った。
「お前500だったら、健康体で鍛錬尽くしの俺の立場どうなるよ?」
「あははは。そうだな、俺はお前程緋狭さんの過剰過ぎる愛の洗礼を受けていないし」
「無茶苦茶な鍛錬を愛と一緒にすんなよ!! そんな愛なんて俺いらねえよ」
そう言っていたら、小猿が呟いた。
「500kgも400kgも似たようなもんだって。俺…2人の重さの差まで、ないんだってば…」
『いろいろ、どんないろ~?
あははははは~』
「来たぞ!!! 翠、軽くなった俺とお前で、首飾りを積極的に取りに行く」
「判った!!!」
「ミドリとシロッッ!!!」
途端混乱する。
「煌、緑と白以外を踏めッッ!!!」
「紫堂櫂~首飾りはどっちだっけ~」
「首飾りは緑と白だけだッッ!!」
櫂の頭はすげえや。
うう…10秒猶予あるとはいえ、
さすがに500kg移動は辛いかも。
鎖…厄介だよ、この鎖…。
今まで通り、巻き上げるようにして移動出来ないならば…とんだ邪魔物で。
櫂は俺達の重さが違う故に、音楽を止めた。
逆にストレスになると踏んだらしい。