シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「「「………」」」



遠坂由香が顔を真っ赤にさせてiPhoneを床に叩きつけようとしたのを、私と芹霞さんで必死に止め、そこからダウンロードを続行した。


…恒星時表なるものは、計算ソフトのエクセルで用意されており、縦軸が日にち、横軸が月の表で…中には時刻が書かれていた。


「ぐ…またこの目がチカチカか。じゃあさっきのサイトに戻って…"出生恒星時に出生時間をプラスして、出生地時差を求めて下さい"…って、出生地時差?」


芹霞さんがうんざりとした顔になった。


「やや神崎、説明があるよ。"貴方が生まれた場所の時間が、日本標準時である兵庫県明石と東西にどの程度時差があるかです"。

―――……。

ボクは日本生まれの日本人、生粋の江戸っ子だ!!!

日本に時差はないッッッ!!!!」


「由香ちゃん、落ち着いて、落ち着いて!!!」


「ぬおおおおお~!!! 神崎は…許せるのか!!? こうした意味ないような、ちんぷんかんぷんが…許されていいと思うのか!!!?」


「意味ないのかあるのか判らないけど…だけど確かに…。

―――……。

どうしてあたしが、大嫌いな数学やらないといけないの!!?」

ストレス…溜まってきたああ!!!」


そして憤った女2人は、私を見て。


「葉山…」

「桜ちゃん…」


「「数学得意そうな顔してるね!!?」」


か、顔って…。

2人は、数学…にはまだ至っていない数値のストレスに、爆発しそうで。


私は遠坂由香の手からiPhoneを奪い取り、見ていてなんとなく覚えた画面を出して…


「由香さん、芹霞さん!!! 呟いて下さい!!! 吐き出して下さいッッッ!!! ここにやり方のリンクがあります!!」



私は…叫んだ。



< 250 / 1,366 >

この作品をシェア

pagetop