シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
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「ふふふふ、何か由香ちゃん…あたしすっきりした~♪」


「ふふふふ、そうだね、神崎。何だかさ、仮に氷皇に筒抜けになっていても良いような気がしたよ。むしろ、"ボク達の声を聞け~ッッ!!"ってな感じ?」


「そうそう。この一方的なやりとりに我慢出来なかったからね。だけど全て見られるのは癪だから、遮断方法見つけてね」


「ご期待の処悪いけど、何処をどう見て弄くり回しても、対外部的措置がまるでとられていない、このiPhoneだけに留まる"メモ帳"のような書き専なものなのに、パスまでついてしかも"非公開"で…アカウント選択時にはネット接続遮断した"圏外"通知が出る上…設定画面見ても、外部からのアクセスがあれば警告を発する"セキュリティ高"設定になっていて、外部接続になって誰かに見られていたなら、ボク…部屋に隠している腐った雑誌、全て神崎にあげるから」


「由香ちゃんの言葉、句点がなさすぎで…よく意味判らなくて、由香ちゃんが腐ったもの隠していることしか判らなかったよ。うふふふ」


「ああ、難しかったか。要するにこの"ついった"は、"投下オンリー引き籠り腐れオタクの戯れ言上等"としか、思えないと言ったのさ。あはははは」


「うふふ。じゃああたしも腐れオタクになっちゃったんだね。よろしくね、腐れ先輩」


「ああ、ウエルカムさ、腐れ神崎」


吐き出し効果なのか、2人はすっきり顔で上機嫌。

"腐れ"ばかり口にしてながらも、2人の肌がぴかぴかになった気がする。


………。

ストレスという"毒素"の吐き出しは、美容効果があるんだろうか。


「由香ちゃん、続きやろうか。今ならあたし、何でも出来そうな気がする」

「奇遇だな、神崎。ボクもそう思っていた処だ。ストレスないって素晴らしいな。何だか、師匠並みに頭良くなってきた気分だよ」

「そうだよね~。あたしも、心は寛大になって頭はすっきりしてるから、玲くんの役に立てそうな気分♪ 褒めて貰えるように頑張ろうね~」


………。


この2人は、何を呟いたのだろうか。

吐き出した毒は、どんなものだったんだろう。


2人の画面には、凄まじい…指紋の痕がくっきりとついていて、私は…こっそりと汚れた画面を…傍にあった柔らかなタオルで磨いて、綺麗にした。


ここまで2人が変化するくらいなら、私もやってみようか。


………。

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