シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「ええと、何処まで進んでたっけ、神崎」
「確か、時差表。東京が兵庫県の明石とどれだけ時差があるかっていうトコで、あれ…サイトの見たら、これ…表にあった家のマークの数字…"プラス19"、だ。なんだ、最初から判っていたんだ。教えてくれればいいのに、蒼生ちゃんのお茶目さん」
「本当だね。先にサクサクいけたのにさ。氷皇のい・け・ず☆」
ありえない程、氷皇に好意的な批判。
「東京が19分も時差があるなんて、ボク初めて知ったよ」
「勉強にもなったし、何だか幸先いいね~」
「そうだね~。頑張ろうね~神崎」
和やかだ…。
凄く和やかだ…。
不気味な程。
「それで、時差が判ったら、次は…出生恒星時に24時間制の出生時間を足したものに、時差の19分も足して…か。29時73分になった。
ええと…サイトの説明では…"その結果が、もし24時以上になったら24を引いて、60分以上は時に直す"…。
………。
分を時にはどう直せばいいんだろう。由香ちゃん判る?」
「はるか昔、そんな計算したこともあるけれど…基本、分は分で時は時だよな…。変換出来たっけ?」
「「………???」」
2人は考え込み、そして――
「ふふふふ。桜ちゃん?」
「ふふふふ。は・や・ま?」
和やかでも…
計算は私に回ってくるらしい。
頭がすっきりしていても…
理解力がアップしたワケではないらしい。
…予想想定内だったとはいえ…
それくらいは…私でも出来るか。
私は――
芹霞さんの計算兼走り書きのようなメモに、その答えと思われる時刻を書いて、芹霞さんに返した。
あまりに早すぎると、驚くに目を瞠(みは)っていたけれど。
73分を時に処理した30時13分から、24を引けばいいだけの単純の話が…何で難しいんだろう?
私は…そちらの方が驚きだったりする。
「よかったね、師匠がいない時に計算に強い葉山がいて」
「そうだね、由香ちゃん。如何にも計算向きなつるつるほっぺだものね」
………。
学校では…計算方法を教えてくれないんだろうか。
私は学校に通っていないのに、私如きが計算していいのだろうか?
そんな疑問も湧いたけれど。
「「次行こう、次!!!」」
あまり気にすることもないらしい。