シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
芹霞さん…。
本当に玲様が好きなんですか?
それは本当に愛なんですか?
櫂様以上に、玲様が好きなんですか?
何故だか――
無性に…荒く彼女に尋ねたくなって。
ソレハダレノタメニ?
私は――
唇を噛みしめ、ちくちく痛む心抑えつけた。
何故か、煌の…泣きそうな顔が思い浮かんだ。
諦めなくてはと言いつつ、
諦めきれないあの顔を。
また…ちくりと胸が痛んだ。
「…桜ちゃん、大丈夫?」
気づけば、芹霞さんが心配げな顔を向けていて。
「凄く辛そうな顔しているけれど…何処か痛いの?」
もしも――
もし――…。
貴方のことを想って、胸が痛くて仕方が無いと言ったら。
芹霞さんは…どう反応するだろうか。
私も1人の男です。
私も見て下さいと言ったのなら。
芹霞さんは、私を意識してくれるだろうか。
感情のない私が、芹霞さんに感情を求めたのなら。
もしも涙を見せて懇願したとしたら。
それでも。
それでもやはり私は…
"桜ちゃん"にしか過ぎないのだろうか。
ありえないけれど。
だけどもしも芹霞さんが、私を意識してくれたのなら。
櫂様や玲様や煌でもなく。
初恋の久遠でもなく。
私を男として見てくれたのなら。
そしたら私は――
「大丈夫です」
私は頭を下げて言った。
やめよう。
ありえないことを考えていても虚しいだけ。
私はそんなことは考えてはいけない。
許されているのは、見守ることのみ。
私は…遠坂由香が、八の字眉で見ていたことに気づかなかった。
◇◇◇
呟きのエリアが変わりました。
《Upper World 001》