シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

異常

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全くもって――

蒼生ちゃんの意図が見えない。


あたし達を占い師にでも養成して、新たなるビジネス展開でも図っているんだろうか。デザイナーとしてネタ切れてしまったんだろうか。


――あはははは~。


あたし嫌だ。

青い服を着て、こんな面倒臭い占いするのは。


「――…。三重円をかいたでしょ、次はええと…"中心点を通る直線を引き終えたら、その左端に「ASC(アセンダントサイン)」、右端に「DEC(ディセンダントサイン)」と書き入れましょう"。よし、OKだ」


とりあえず最初のとりかかりは、あたし用の占星術(ホロスコープ)。計算の次はお絵かきだ。


ふと思う。

雑誌の中によく見る星占い。


12個に分けられたそれは、当たるも八卦当たらぬも八卦。

何億という人間を12の類型(カテゴリー)にきっちり分けることなんて出来るわけがなく、星占いなんてあくまで目安にしかすぎない。

獅子座なんて、"自信家で派手"とか言うけれど、あたしビビリの庶民だし。人前に立つより裏舞台向きのタイプだし。

"ポジティブで明るい"とかよく言われるけれど、あたしだってオチる時はオチるし。何してもへらへら笑っていられたら、あたしただの馬鹿じゃない。

獅子座だって、雑誌の文字にはならない…色々なパターンがあると思うんだ。

その点この占星術(ホロスコープ)。日付や時刻ごとの細かいデータを見ながら、此処まで個人に応じた細かい作業をするのだから、世界に1つしかないだろうと思う。

双子ならまだしも、同じ物を持つ他人が居たのなら、心底吃驚だ。


「"次は三重円のうち、一番外側のスペースを12等分します。先程書き出したハウス区分表にある第1ハウスの数字を見て、ASCより上のその数字分の角度にあたる処に分割線を引き、ASCの下「30-その数字分」の角度に分割線を引きます。ASCを挟んだその分割線内が、第1ハウスの範囲となりますので、その内部にどの星座のどの数字かを書き込んで、あとは11個分、順に30度の処で分割線を引いて、円を12等分して下さい。それが合計12個のハウスになります"」


あたしは国語も不得意で理解力がないけれど、これが一番判りやすい占星術(ホロスコープ)の説明サイトらしく、実際にやりながらでもしないと全く意味が判らない。してみても、やる意味すら判らないけれど。

あたし達には、桜ちゃんがいる。

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