シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
更にか細い…まるで悲鳴のような声を耳にして、慌てて窓を開けると――下の草むらに、沈んだように仰向けになっている…"何か"が見えた。
「「………猫」」
着地に失敗でもしたのか…。
その仰向けざまは、何とも猫らしからぬ…
いやもう…ご愁傷様という感じで。
尻尾は動いているように見えるから、生きてはいるらしい。
見られる方も恥ずかしいだろうが、見る方も恥ずかしい。
恐らく窓からこの部屋に入りたかったのだろうが…窓は閉められている上、場所が予想外に高い処であり…しかし、猫の矜持にかけて、何度も挑戦していたんだろう。
もしかして"ベチン"は窓を開けてくれという必死の合図だったのかも知れないけれど、こんなおマヌケ過ぎる姿を見る分には…ズッコケ直前の派手なギャグとしてしか思えなくなってしまう。
そんな…上から眺め下ろすあたし達の哀れんだ視線を感じたのか、猫は慌てて飛び跳ねて宙返りすると、すとんと地面に降り立った。
まるで何事も無かったかのように、おすまししている。
白い猫だ。
毛がふさふさだ。
お上品だ。
それだけに…あの着地具合は残念すぎるんだけれど。
だけどあの猫――
「かわいい~」
だっこしたい。
ぎゅうしてちゅうしたい!!
I love ふさふさ!!!
あたしは両手を広げて、
「ふさふさ猫ちゃん。おいで~」
そうハートを飛ばして声を掛けると――
白猫が飛んできた。
壁を蹴りながらの二段階、三段階の跳躍ではなく…一回で三階分の高さを飛ぶとは、何ていう跳躍力!!!
こんな猫、初めて見た。
というか、猫ってこう大胆に飛ぶのか!!?
そして――
汚名返上なるか!!!?
と、ハラハラしながら見守っていたあたし。
猫は飛んで来て――
「げふっ」
あたしの顔面に着地した。