シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「小猿!!!? お前…何チャレンジャーしてるんだよ!!!? そっちの方が、やばそうな匂いがぷんぷんじゃねえか!!!」
「俺…何かを禁じられることでダメージ受けるものは何もないよ。何もない奴は…こっち進んだ方がいい。適材適所。その方が…"功利的"だ」
俺達を…考えたのか。
そこまで翠は周りを見れるようになったのか、この短期間で。
初めて翠に会った時、例え敵であったとしても、育ててみたい逸材だと思っていた。
実際、こうして共の行動をしてみたら、結果的にその吸収力は思った以上だった。
だからついつい、無理を言ってみたくなる。
その可能性が何処まで広がるのか、確かめたくなる。
それは、煌を相手にしている時のように。
煌と翠は、共鳴しあっている者同士。
ならば、煌が一番…翠の変化を感じ取っているはずで。
そして俺以上に、翠を心配しているはずで。
しかし…成長を願う心は、俺と同じはずだ。
「ではええか、皆はん。
櫂はんとワンワンはんが、真ん中『防御を禁ず』の道。
翠はんが右『○○を禁ず』の道。
変更はありまへんな?」
「ない」
翠が力強く答えた。
その時、情報屋が薄く笑い…
「変化に順応し、自らも変化を望むとは…翠は期待通りか」
そう呟いたように、俺には聞こえた。
「何や、櫂はん。ウチの顔をじろじろと。ひーちゃんは櫂はんみたいな趣味はありまへん。こうがばっと抱きつき、"ワンワン大好"…」
俺は情報屋の口を押さえ、ありったけの力で睨み付けた。
「なななななな、ひーちゃん凍るッッ!! 砕かれるッッ!! おこた、おこた!!!」
そして暫くこたつに潜り込んでから出て来た聖は、俺を見るとびくびくしていたけれど。
「では…お進みなはれ。次の道へ」
俺達は…翠と道を違え、真ん中の道に進んでいった。
◇◇◇
《Under World 005》