シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
例えどんな封印を施したとて、

例えどんな策を練ったとして、

それは――

運命である限り消えぬ。


しかし。


それでも運命を変えようとする者がいた。

それでも抵抗する者がいた。


運命をねじ曲げようとすれば、

相応の罰則(ペナルティー)を食らう。


その為に惨劇は起こった。

その為に悲劇は起こった。



その為に――

罪は今もまだ巡り続ける。


いまだ、多くを巻き込んで巡回し、

やがて巡り巡って、行き着くだろう。


円環の起点に。


即ち――


罪の…原点へと。



罪は、逃れられない。



彼は――

黒い塔を見上げた。


忌まわしき塔。


虚無の黒色。

慈悲の赤色。


これの出現だけは…目にしたくなかったと、

彼は口惜しそうに唇を噛んだ。



その時、前方の人影がゆらりと揺れた。



「そろそろ――

声がかかるかと思ってたぞ」



現れた男はくつくつ笑う。


青。


何処までも冷酷なまま、単独で存在感を持つその色は…孤高の青。


その中からの澱(よど)みも、清澄さも…何1つ窺うことが出来ない。


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