シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


『お答えします、櫂様。こちらは格闘ゲームになります』


格闘ゲーム?


「って、相手はあいつら?」


青く染まったあいつらの1人は、手を振って俺達を愉快そうに眺めている。


『お答えします、イヌ。そうです。こちらでは、お2人の五感をイロイロ奪った中で格闘して頂くゲームです。

ROUND1では、視、聴、嗅、味、触の五感のどれかを"異常状態"にて戦って貰います。持ち点50からスタートし、相手に攻撃できたら10点加算で、お2人がそれぞれ200になった時点でROUND2に移行します。

しかし相手から攻撃を弾いたり受けとめたり…"防御"すればマイナス5点。避けるのは構いません。

またこちらからの攻撃の際、この家のものを傷つければマイナス10点となり、更にペナルティを食らいます』


「相手の攻撃より…家傷つけたらマイナス10点って…減点が大きいのは何故よ?」


『お答えします。それだけ精神的ダメージが高いということです』


ダメージ?

もうダメージ受けまくって崩壊寸前の家に、精神的にくるものなんてあるのか?


「異常状態の五感とやらは、どういうものか予(あらかじ)め決まっているのか?」


櫂が問えば。


『お答えします。相手側が対象五感を2つ決め、その程度を決めます』


「あはははは~。決めるのは青いカード~!!!」


青い髪に、藍色の瞳。

元老院まで上り詰めた五皇のくせして、誉れある青の蓮バッチつけた青の外套姿で、こたつ入っているなよ…氷皇。


幻覚とも思えず…現実でもありそうな胡散臭さ。


そして氷皇は、ババ抜きのように裏返したカードを扇状に広げて、俺と櫂に1枚ずつ引くように指示した。


俺達は1枚ずつ引き、表に返して見せた。


「ワンワンは"視覚↓"、カイクンは"嗅覚↑"。じゃあ2人に反映してね~」


そう朗らかに言い放った時、視界が震えるように揺れた。


視界の中にある…氷皇と猫とリスの輪郭が、小刻みにぶれたかと思うと――


「は!!!? 分裂!!!?」


青の胡散臭い男、白猫、茶リスが各10匹(人)ぐらいに、増殖したんだ。


わさわさ、だ。


何だよ・・・これ。

こいつら…何よ、何者よ!!?
< 353 / 1,366 >

この作品をシェア

pagetop