シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「戦いの場は、この居間だけか?」
『お答えします、櫂様。居間12畳と隣続きになっている4畳半の和室、3畳の台所を開放しますので、合計20畳弱の広さが舞台です。居間のコタツ以外の物品配置は、実際のものに準じます。
何かにぶつかり家財などが傷ついた時は、アナウンスが流れます。ぶつからず、敵の気配を感じ取って攻撃して下さい』
記憶と気配辿れって!!?
戦うか、避けるかしか取る選択肢はないと?
咄嗟の…反射神経は、防御に転じそうで…逆に足を引っ張りそうだ。
きちんと相手を感じ取り、きっちり処理しないといけねえ。
まあ、気をつけるべきは、氷皇。
あとは…猫とリスだし、何とかなるか。
「ニノ。ペナルティーとは?」
『お答え致しかねます、櫂様』
つまり、その時まで秘密ということで。
それが…妙な不安を煽る。
「相手の方の動きには制限があるのか?」
『お答えします。相手方も防御は禁じられ、避けるか、攻撃するかのみです。こちらの攻撃に対し、相手方の…何らかの反応があった場合、こちらの攻撃成功とみなされます。攻撃が成功すると、アナウンスが流れます。また、得点確認をしたい時は、私にお申し付け下さい』
防御が出来ないならば――
連続技繰り出せば、攻撃命中率は高い。
ただ見えねえのが痛い。
こっちからは相手が見えねえけど、向こうからはこっちが見える。
こっちの攻撃力と素早さが、見えねえ敵を上回れるか?
けどそれは、攻撃力の高い奴が相手だったらの話で。
「櫂…まずは氷皇の攻撃に気をつけようぜ。
後は…所詮、ニャンコとリスだ。
気配掴んで、狙い撃ちすれば何とかなる」
見えねえ櫂に向かって俺は言った。
弱小動物相手ならば。
俺は"人間様"の誇りに賭けて、意地でも負けたくねえし。
負ける気しねえし。
弱い者虐めは気は引けるけれど…そうも言ってられねえ。
玲と久遠の声してても関係ねえ。
これは勝負なんだ。
此処は心を鬼にして…