シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「おい、イヌ。オレを猫扱いするな」
「そうだよ、僕はリスじゃないよ!!!」
「オレの何処が猫だよ、イヌのお前と一緒にするな」
「僕を怒らせたいの? 僕が…弱いって? イヌのお前より?」
…というような、不満げな声2種が、あちこちから聞こえてくる。
木霊のように、あちこちだ。
ちゃんと闇の向こうに、存在はしているらしいが…
ああ、うるせえ…。
自己主張が激しすぎる。
「あはははは~。レイくん、クオンくん。ワンワンがイヌ扱いするなと言うのと同じくらい、説得力ないよ~」
「あははは~」
「あははははは~」
今度は"あはははは~"があちこち。
何人いるんだよ、こっちの方がうるせえよ。
ニャンコとリスの何倍、自己主張烈しいんだよ。
と、いうよりさ。
「おい氷皇。どう見ても猫の久遠達やリスの玲達が、人間の俺と同じ立場なわけねえだろうがよ!!! お前、失礼だな!!!」
暗闇にそう叫べば。
「え、何処か違う?」
カチンとくる青男の声。
「イヌかネコかリスか、種別の違いだけじゃない?」
平然と…返る言葉に、嘲るような笑い声の大合唱。
「馬鹿だな、このイヌ」
「本当に…駄犬だね」
「あはははは~」
笑い声は3種にのぼる。
ああ…声が多すぎて混沌(カオス)。
俺、聖徳太子じゃねえんだよ、一斉に喋るな。
頭がくらくらするじゃねえか。
しかも腹立たしいこと喋るんじゃねえよ!!
「ニノ。また時間設定を頼む。10分だ」
『お答えします、櫂様。了解しました』
小猿の元に駆け付けること考えれば、10分は長すぎるけれど。
最大限ということで、恐らく設定したんだろうな。
「おいニノ。こっちからの攻撃種に限定はあるのか?」
『お答えします、イヌ。ありません。体術でも力でも武器でも何でも構いません。お2人それぞれが200点になった処で、ROUND1CLEARです』
「ROUNDっていくつまであるよ?」
『お答えします、イヌ。2つです』
「櫂。なら楽勝じゃん。氷皇に気をつければ上手くいくって」
「そう……だといいが…」
櫂の声は…何かを考えているような低いもので。
『ROUND1
FIGHTッッ!!!』
今度は…緋狭姉のアナウンスが響き渡った。