シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
胡散臭い男の提案。
俺はせせら笑う。
「お前1人でどう言ったって、このゲームは定義(ルール)があるんだ。勝手なことは出来ねえんだよ!!」
先輩風吹かせて、ニノに同意を求めれば。
『お答えします、イヌ。あの人は元老院なので、生きた定義(ルール)です』
「あ!!?」
「ニノ…だということは、今後もあの男の気まぐれ発言が、随時定義(ルール)に関わってくるということか?」
少しばかり焦ったような櫂の声。
『お答えします、櫂様。そうです、色つきは横暴です』
「ん~コホン」
『……失礼致しました、元老院』
何だ?
闇の中で、溜息交じりの櫂の声が聞こえる。
「ふう…それも定義(ルール)というのなら仕方が無い。またもや定義(ルール)は変化しうるか。
…煌。点数を上げるためには攻撃しろ。点数を下げない為には避けるか、相手の攻撃を受けろ。防御ではなく。ニノ、攻撃をされる分は、減点はないな?」
『お答えします、櫂様。その通りです』
「ということだ。避けきれないと思ったら、攻撃を受けろ」
「ああ、仕方ねえからな」
「あははは~。ま、ちょっとどういう具合か、手合わせしてみてよ。
はい、アナウンス!! ほら~俺に促されないでよ、アカの担当だろう?」
『今泥沼化した三角関係がいいトコなのに。…まったく。余計な…面倒な仕事を増やしおって』
「あははは~お互い様じゃないか、仕事だよ仕事。昼ドラは見ない。サボらない」
『……ちっ』
ぬを!!!?
「緋狭姉、其処にいるのか!!? あのアナウンスはただの緋狭姉の声の模写じゃなく、本物のものだったのか!!?」
「あははは~。どうだろうね~」
「緋狭姉、緋狭姉は元気なのか!!?」
思わず俺は吼えた。
「緋狭姉…じゃあ"約束の地(カナン)"に連れた緋狭姉は…偽者なのか!!? 緋狭姉は実は元気なのか!!?」
「アカ、実は元気~? 可愛いワンワンが聞いてるよ?」
しかし緋狭姉の声は聞こえなくて。
「緋狭姉、緋狭姉!!!?」
俺は…かなり、緋狭姉のあの姿が心身に堪えていたことを知る。
緋狭姉が無事だったらと思うだけで、期待に心が逸(はや)る。