シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
決断 櫂Side
櫂Side
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鮮やかなオレンジ色の人参。
皮がついたままの固い緑黄色野菜。
煌が一番不得手とするそれを初めて生で口にした時、消えゆく"あれ"の感覚に…至上の喜びを感じた。
深くは考えまい。
何の肉だったのか。
芹霞の愛と…煌の友情に…
今は…耐えろ。
『15秒経過。
視覚を奪わせて貰う』
突如暗くなる視界。
目を開けていながら"現実"という輪郭が見えない世界を自覚しているのは、ある種…変形的明晰夢だ。
目が隠されて見えないというのと、目が開いているのに見えないというのは、意味が違う。
五感の…視覚の齟齬が起きるんだ。
妙な不安だけを増大させる。
俺の体は…どれだけ五感と密接に関係しているんだろうか。
これは視覚に限ったことではないんだろう。
耳を塞いでいるのに聞こえないのと、耳を塞いでいないのに聞こえなくなるのとでも…肉体と感覚の平衡感覚はずれ、パニックを起こすはずだ。
そのずれが…気配の察知に影響する。
気配を感じてから、正確に体が反応しない。
気配の察知というものは、五感には属しない。
これは五感を超えた…第六感という"直感"に類するもので。
似たようなものでも、種類はまるで違う。
だからこそ、戦闘中において気配を察する第六感と、体を直に支配する五感は、独立したまま…別々に動いて、更に連携することが可能だった。
イロオニにおいては、五感と体が如何に早く連結出来るかが問題だったのに対し、今度は第六感を含めた連携が大切となる。
記憶という先入観を覆す、予想外の"動き"に思考が混乱し、
五感に頼りすぎて即座に反応する体は…
五感外の感覚に対して躊躇を見せ始めている。
「あははは~。どうだい、クオンクンとレイクンは。中々の敏捷性と攻撃力だろう。まだ"楽勝"、ワンワン?」
煌からの答えはなく…舌打ちで。
「あははは~!!! 優しい俺としては、クオンクンとレイクンだけに任せてあげたい気もするけれど、流石にそれは俺の罰則(ペナルティー)になるから、俺も攻撃に参加しないとね。よし、じゃあ俺は…最低限の1体にする。その代わり、クオンクンやレイクンはうじゃうじゃなままで。
ん、いいこと考えた」
ああ…また何かよからぬことを考えたのか。
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鮮やかなオレンジ色の人参。
皮がついたままの固い緑黄色野菜。
煌が一番不得手とするそれを初めて生で口にした時、消えゆく"あれ"の感覚に…至上の喜びを感じた。
深くは考えまい。
何の肉だったのか。
芹霞の愛と…煌の友情に…
今は…耐えろ。
『15秒経過。
視覚を奪わせて貰う』
突如暗くなる視界。
目を開けていながら"現実"という輪郭が見えない世界を自覚しているのは、ある種…変形的明晰夢だ。
目が隠されて見えないというのと、目が開いているのに見えないというのは、意味が違う。
五感の…視覚の齟齬が起きるんだ。
妙な不安だけを増大させる。
俺の体は…どれだけ五感と密接に関係しているんだろうか。
これは視覚に限ったことではないんだろう。
耳を塞いでいるのに聞こえないのと、耳を塞いでいないのに聞こえなくなるのとでも…肉体と感覚の平衡感覚はずれ、パニックを起こすはずだ。
そのずれが…気配の察知に影響する。
気配を感じてから、正確に体が反応しない。
気配の察知というものは、五感には属しない。
これは五感を超えた…第六感という"直感"に類するもので。
似たようなものでも、種類はまるで違う。
だからこそ、戦闘中において気配を察する第六感と、体を直に支配する五感は、独立したまま…別々に動いて、更に連携することが可能だった。
イロオニにおいては、五感と体が如何に早く連結出来るかが問題だったのに対し、今度は第六感を含めた連携が大切となる。
記憶という先入観を覆す、予想外の"動き"に思考が混乱し、
五感に頼りすぎて即座に反応する体は…
五感外の感覚に対して躊躇を見せ始めている。
「あははは~。どうだい、クオンクンとレイクンは。中々の敏捷性と攻撃力だろう。まだ"楽勝"、ワンワン?」
煌からの答えはなく…舌打ちで。
「あははは~!!! 優しい俺としては、クオンクンとレイクンだけに任せてあげたい気もするけれど、流石にそれは俺の罰則(ペナルティー)になるから、俺も攻撃に参加しないとね。よし、じゃあ俺は…最低限の1体にする。その代わり、クオンクンやレイクンはうじゃうじゃなままで。
ん、いいこと考えた」
ああ…また何かよからぬことを考えたのか。