シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「おおっ!!! お前も剣に顕現したのか!?」
俺の手の中には…バスタードソード。
やはり俺が手にする武器は、この武器しかない。
俺の…始まりの剣。
「馬鹿だね、慣れぬ武器でオレが何とか出来るとでも?」
「17にもなって、考えられることはそんなことか?」
「何だか眠くなってきた。今、せりもいないし…コタツで寝ようかな」
「うわー、勇者にでもなったつもりなのか? そんな武器で、僕達が何とか出来るとでも思ってるんだ? おかしくてたまらないね」
「駄犬のに比べたら玩具だね。カリカリしようかな」
「そうだね、所詮は貧弱な想像力が創り出したものだ。大した威力もなければ硬度もなさそうだし…付け刃って奴? 全然怖くないよ。皆でカリカリしよう?」
………。
ムカつく猫とリスに、粛正を。
「アカ、ア~カッッ!!! もう5秒は経ってるぞ!!? アカ、アカ!!? ぐうたらしてるのか? それとも何処かに行ったのか!!?」
『……手洗いに行ってただけだ。淑女がそこまで言わないといけないのか。アオは時間に煩さすぎるぞ』
「誰が淑女だって? トイレは後、後ッッ!!! 時間にきちんとするのは、アカの役目だろ?」
『はいはい。じゃ、5秒』
「アカ~。もっとやる気と色気出そうよ」
『お前はイロイロ煩いな。色なら胡散臭い色で十分だろう。ほら、次いけ』
本当に…この緋狭さん、偽者なんだろうか…。
「次は視覚ゼロ、聴力UP~」
途端、耳の反響音が凄まじいものとなり、三半規管が刺激されすぎたのか、襲う眩暈に気分が悪くなる。
俺より耳がいい煌は辛いはずだ。
しかし苦悶の声が聞こえず…小声で聞いて見る。
「ん…くらくらはするけどよ…血を流してもっとくらくらする修行はしてたし、何より…あの"輝くトラペソヘドロン"への周波数音に比べれば可愛いもんさ。
櫂…これ、俺には不利と思ったけど…逆に有利かもしれねえわ。ニャンコとリスの息遣いがリアルに感じるから、気配より正確に掴める。見えてるようにな」
俺の耳には、息遣いまでは聞き取れないけれど、聴力が優れている煌にとって、特定周波数を聞いた時の辛い記憶の蘇生が、良い方に作用しているらしい。